Coda-棘-
ブランド名 OVER ジャンル ノベルティック・ADVゲーム
発売日 2001.10.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(151x215x32mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 618.6MB、CD-DAなし、CD-ROM XA
原画 ぶるべら シナリオ ここのつ
音声 女性キャラのみフルボイス、みなみ、木葉楓、北条明日香、藤沢暁、望月結夜、
夏野向日葵、日向裕羅
インタフェース キーボード操作ほぼ不可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 27箇所 あり(1曲、OP)
おまけ CG鑑賞、音楽鑑賞、回想モード
対象属性 学園物、純愛、陵辱、緑髪、ボクっ娘、赤髪、ショートカット、青髪、リボン、金髪、
ストレートロング、カチューシャ、ヘアバンド、ピンク髪、眼鏡っ娘、茶髪、ボブカット、
ストッキング、オーバーニーソックス
1プレイ時間 6〜7時間 お奨め度 6

レビュー
まず最初にお断りしておきます。
このレビューにはストーリー上かなりの所までのネタバレが含まれています。
ですので、これからゲームをプレイしようという方は読まない方がいいかも
知れません。

ただ、ネタバレとは言っても、私自身の言葉でネタバレをするわけではなく、
パッケージやマニュアルの解説からの引用によってのネタバレですので、
もしこのゲームをプレイしようという方で極度にネタバレを嫌う方は、
パッケージやマニュアル、メーカのサイトを見ずにプレイすることをお奨め
します。


と、普段は滅多にやらない前置きをしたところで。


とある事件がきっかけで心を閉ざしていた主人公。しかし、あるきっかけで
自分を取り戻し、そのためにある行動を起こす。しかしその行動が仲間達も
巻き込んだ悲劇を巻き起こす。その状況の中、主人公はどう行動するのか…
という、オカルティックな要素も含んだノベルティック・ADVゲームです。

…えー、やたら「とある」だの「その」だという言葉が多いですが、
これが全部ネタバレになります(笑)
後ほど思う存分書きますので、今はもやもやした気持ちのまま読んで下さい(笑)


インタフェースはキーボード不可。メッセージ送りすらも(T_T)
履歴表示とメッセージスキップだけはキーボードで出来るあたりが寂しげです(^^;
# メニューバーはキーボードで操作できますからね…。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600。
初回起動時はフルスクリーンで起動されるのですが、他のウインドウ位置を
見事に破壊してくれます(T_T)

あと、他のウインドウにフォーカスを移して元に戻すと、正常にWindowが表示
されなかったりと、表示周りであらが目立ちます。

動作の方はやや重め。メッセージスキップもあまり快適じゃないですね。
あと、メッセージバックログも搭載していますが、別ウインドウで開く
形式のためちょっと操作が煩わしいかも。

セーブ箇所は27箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
…選択肢の出ているところ以外ではなっ(爆)

選択肢の数が非常に少ないノベルタイプのこのゲームにおいて、セーブする
タイミングといえば選択肢が出てくるときが一番タイミングいいのですが、
その選択肢が出ているときのみセーブできないと言うのは酷いです…。
# 吹き出しメッセージが出ているときも出来ませんけど。


キャラクターは以下の通り。

八木春香。前の学校からの友人で、同じ陸上部。
以前は高飛びの選手だったが、いまはマネージャーをやっている。
# 名字で呼び合うのは、プレイか?(笑)

藪阪ともみ。陸上部のホープ。尻を揉みしだく性癖を持つ(笑)
…えーっと、藪阪と藪坂、どっちが正しいんですか?(^^;
ゲーム中で両方の表記が出てくるんですけど…。
# 本編では藪阪、オープニングでは藪坂…。

深見紗世。主人公のクラスメイト。
朝が弱く、遅刻魔。基本的におっとりのほほん天然娘。
# ぶつかったとき、肘を入れるのはお約束ですか?(^^;

向井万里子。新任の先生。入学当初からお世話になっている。
黒くて長い美しい髪。…私には茶髪のボブカットに見えましたが…(^^;
# カットによっては、一応ロングヘア(笑)

水無川綾。主人公のクラスメイト。肘用に大人で頭の回転も速い。
# 「あや」ではなく「りょう」って読むんですね。

佐々木美鶴。主人公のクラスメイト。天才少女。
…かなり独特の思考回路を持つ(笑)
# 「日下くん、せみうるさい」「俺にクレーム出されてもな」(笑)

向井まみ。主人公の後輩。関西弁少女。…浪速のモーツァルトて(^^;
# 「おおきに、お兄ちゃん」…そりゃボディに効くぜ(笑)

橘宏人。エロ漫画がきっかけで仲良くなった親友(笑)
# 「たちばなくんて、どの子かな?」「あいつ、Death」…(^^;

相馬優哉。まみの幼なじみで彼氏。


これだけのキャラクターを紹介しましたが、実はこのゲーム、攻略出来る
キャラクターは2人だけしかいません(爆)


絵の方は全体的にやや丸っこい印象を受けますが、可愛くていいですね(^^)
綾萌え〜。紗世も好きではあるのですが、あの扱いはねぇ…(^^;


声の方ですが、ほぼ完璧。キャラクターにもばっちり合ってますし、
演技の方も全く問題なし。キレた演技もステキです(笑)

パッケージには主要キャラフルボイスと書かれていますが、女性のみです。
個人的には宏人の声とかも聴いてみたかった気がしますが。


音楽の方は可もなく不可もなく。若干ノイズが気になりますが。
オープニングは歌付きなのですが、なんとなく聞き飽きた感があります(笑)


システム的には選択肢決定型のアドベンチャーゲーム。
とは言っても選択肢の数はかなり少ないので、ほとんどノベルと言って
差し支えないですね。


ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
絵の方は基本的にキャラクター紹介と、あとは抽象的な文字演出が多いですね。
文字は切り替わりが早いので何かいてあるのかよーわかりません(^^;

歌はイントロ聴いた瞬間に解るI've Sound(笑)
まあいつもの感じでそれなりの曲ではあるのですが、内容とそれほど合っている
とも思えない、とりあえずI've使っとけ的な印象を抱く曲です(笑)
# というか、どのゲームでも同じ曲に聞こえるのですが(笑)
##I've SOUNDのゲームはみんな似たようなゲームなのか?(^^;


さて、ここからネタバレまっしぐらで行きます(笑)
まず、パッケージに書かれているゲーム解説からの引用。

「気のおけない友人達と恋人に囲まれ満ち足りていた学園生活--
 だが、その幸福な日々は、あの夏の日一瞬のうちに崩壊してしまった…

 心が通じ合っていたと信じていた恋人から「もう一度友達に戻ろう」という
 突然の提案…彼女の真意を理解出来ないうちに更なる悲劇が起こった。

 それは、彼女の交通事故死という絶望であった…

 異変のきっかけは過去から届けられた彼女の思いが詰まった絵葉書だった…

 恋人だった少女の死をきっかけに、全ての事象から目をそむけ、悲しまない
 自分をつくるようになってしまった主人公。喜びと悲しみを分け合った仲間も、
 彼女の死と共にいつしか距離を置くようになってしまった。そして、恋人の死
 から一年後の夏、主人公の許に一通の絵葉書が届けられた。それは今は
 亡き彼女が生前に遺した主人公への最後の手紙であった。
  絵葉書に記された彼女の主人公への想い。死の直前まで気に病んでいた
 二人のいさかい。そして『みんなのいる学園にいればよかった』という最後の
 願い--。
 彼女の願いを叶えるためために、疎遠になってしまった仲間達との関係を回復
 するために、そして幸福であったあの学園の日々を取り戻すために、主人公は
 彼女からの絵葉書を、学園の中庭にある巨木の根本へと埋める。
 だが、主人公はその木に秘められた凶悪な伝説を知らなかった。そして、己の
 行為が仲間達を巻き込んでどのような悲劇を引き起こすのかを……。」

…と、こんな感じで、主人公が学園に入学し、徐々に親しい仲間が増えていき、
そんな中で紗世とつきあい始めるが、しばらくして友達に戻ろうと言われ、
その理由も聞けぬままに紗世が事故死する。絶望して心を閉ざしたまま1年が
過ぎた時、紗世からの手紙が届けられ、それを見て自分を取り戻した主人公が
過去を違算するため木の根本にその手紙を埋めるが、そのせいで仲間達と共に
異世界に飛ばされる…という話です。

ちなみにゲーム開始時点では紗世からの手紙が届く直前で、それ以前の話は
主人公による回想という形で表現されています。

で、問題なのはこのパッケージに書かれているここまでの流れなのですが…。
実は、この時点でゲームの半分までが終わってます(爆)
しかも、この時点で攻略対象キャラも決まってます(笑)
…そりゃないぜセニョリータ(^^; ふつーはここから物語が動き出すだろう…。

このゲーム、前半はほのぼの学園ドラマで、後半は異世界サイコホラーという
感じなのですが、この解説分だけで前半部分はほとんど語ってます(笑)
パッケージ・マニュアル・メーカのサイトそれぞれ書かれている内容が
違っていて、その3つを見れば前半は任務完了です(笑)

本来なら、仲間とわいわい楽しくやって、そんな中で恋人が出来、その恋人に
いきなり別れ話を持ちかけられ、挙げ句の果てに事故死してしまうという、
非常にメリハリの利いた、これだけでゲーム1本作れるんじゃないかという
展開なのに、恋人が死ぬところまでわかってしまっていては何の感動も
ありません(^^;

私もプレイ前にこれを読んでしまったので、いつ死ぬかいつ死ぬかと待ち
かまえてました(^^;
何も知らずにこのシーンをみたら、めちゃめちゃ衝撃的だったろーなと
思うと残念でなりません。
# というか、あの絵はちょっとやりすぎ(^^; 夢に出そう…。

メーカとしては、この前半部分はあくまで設定紹介的なプロローグの
つもりだったのかも知れませんが、もう少し配慮が欲しかったですね。

ちなみにここまでで既に攻略対象キャラも決まっているわけですが、
なんか異世界に飛ばされる直前の選択肢だけで決まっているような
気がしてならないのですが(^^;

紗世の告白断って、なんとか綾と恋人になろうと思い、ひたすら紗世に
嫌われるような行動を取っても結果は同じだった…(^^;
# こういうことをやったのは、私だけではないはずだ(^^;


で、後半部分ですが、異世界に飛ばされ、そこから出られるかどうかも
解らない緊迫した状況の中で、人はどういう行動に出るか…ということを
描いたなかなかシリアスなドラマで良かったです。

ただ…このゲーム、攻略対象キャラが2人だけなわけですが、そのメイン
ヒロイン絡みのイベントって、全く印象に残ってません(爆)
印象に残っているイベントは、ほとんどサブキャラたちのイベント…。
てゆーか、途中から完全にサブキャラが主人公になってるんですけど(笑)

メインヒロインが2人だけなので、他のサブキャラを活躍させるために
辛い過去や重い設定を与えたんだと思いますが、そちらのインパクトが
あまりに強すぎて、メインヒロインが霞んでます。完膚無きまでに(^^;

この際書いてしまいますが、特に酷いのが綾。シナリオは完全に先生に
食われている上に、設定などの説明は全て春香シナリオでされているため、
おまけ程度にしか感じません(^^;
# 春香ハッピーエンドだけで全てを語っているのでは(^^;

エンディングも、あまりに取って付けたような終わり方ですし、重要な
設定の説明もほったらかしですし…。
私の一番のお気に入りキャラなので、不憫でなりません(T_T)


あと、このゲームはメインヒロインそれぞれにハッピールートとワースト
ルートがあるのですが…何なんだろう、この物足りなさは(笑)

ハッピールートは純愛路線で、これはまあいいとして(シナリオは完全に
サブキャラに食われてますが(笑))、問題はワーストルート。
こちらは陵辱系のシナリオ…のハズなんですが、主人公が暴走して
ヒロイン達を陵辱しまくるのかと思ったら、サブキャラ達が勝手に暴走して
主人公はほとんどそれを眺めているだけという(笑)

しかも、陵辱されるのは主にサブキャラで、あーんまり痛くありません(^^;
こーいうのって、今までいい雰囲気で盛り上がっていたところをいきなり
壊すというのがいいんじゃないんですか?(^^;
今までの盛り上がりとは関係ないところで暴走されても…(^^;

よっぽどそのサブキャラに思い入れがないと、あへんまり感情移入出来ない
ように感じました。まあ、逆にサブキャラに感情移入してしまうと、
結果的に他のキャラとくっついてしまうので痛さ倍増かも知れませんが(笑)

こんな留屁とを作るくらいなら、他のサブヒロインの個別シナリオも
作って欲しいと思いました。


ワンプレイは6〜7時間程度。前半部分はほぼ共通なので、後半から始めれば
3時間程度でしょうか。まあ、元々攻略対象2人だけどなっ(笑)

難易度は選択肢が少ないので簡単…と思いきや、選択肢を選んだときの効果が
すぐには解らない場合が多いので、どれがキー選択肢になっているのかなかなか
判断しづらく、さらに選択肢の出ているところではセーブが出来ないという、
ヘタするとゲーム内容よりも鬼畜な仕様(笑)のため、結構難しいかも。


お奨め度ですが…難しいですね(^^;
痛い作品が好きな人にお奨めと言いたいところなのですが、痛さにあまり耐性の
ない私でもそーんなに痛く感じなかったので、ちょっとお奨めし辛いかも。
かと言って、純愛好きな人にもお奨めは出来ないでしょうし。
まあ。陵辱の描写なんかはかなりのものなので、鬼畜物の好きな人にはお奨め
出来るかな? 楽しめるのはワーストルートぐらいかも知れませんが(^^;

このゲーム、それぞれのパーツパーツは非常にいいものがありますし、設定も
練り込まれていていい感じですし(草葉樹の設定はいきなりだけど(^^;)、
キャラクターも非常に魅力的なんですけど、鬼畜と純愛の両方を欲張って
入れたため、どちらも中途半端になってしまい、さらにサブヒロインに重い
設定を与えてしまったために肝心のメインヒロインが霞んでしまっているのが
非常に残念ですね。意欲は感じられるのですが、ちょっと空回りしている
ように感じました。
# 「死」というものを美化せず、死んだ紗世を「悪い子」と言ってしまう
# あたりはなかなか目を引く物があったのですが。

何より、前半部分の面白い所をほとんどパッケージやマニュアルで語って
しまったため、前半はただ読み流すだけになってしまったのが残念でなりません。
これがなければ、もっと印象も変わったのかも知れませんけどね。

このゲームをこれから始めようという方は、パッケージやマニュアルを見ずに
プレイすることをお奨めします。もっとも、ここまでこのレビューを読んだ
段階で、既に手遅れですけどねっ(笑)


ただ、決してつまらない訳じゃないんです。サブキャラ関連のイベントなんかは
見ていてかなり引き込まれましたし、設定も良く作り込まれていて、矛盾も
ほとんどありません。伏線もきっちり張られていて、上手く構成されています。
ちょっと盛り上げどころというか、勘所が私の求める物とはズレていただけで。
というか、メインヒロインを、もっと言えば綾を盛り上げてください(笑)
全キャラ中、最も不憫なキャラではないだろーか(^^;
# あ、紗世もかなり不憫か…。
##つまり、私のお気に入りキャラは2人とも不憫ってことだ(T_T)


最後に。「呪ってやるぅ☆」(笑)


…このゲームの前半部分、まんま君が望む永遠だよね(笑)



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