Revenir
ブランド名 TROPICAL SOFT ジャンル ファンタジーアドベンチャーゲーム
発売日 2002.10.25 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(184x259x30mm) マニュアル B6よりやや幅狭のブックタイプ
DISC容量 602.8MB、CD-DAなし
原画 すなはらあくる シナリオ 三好ひろゆき
音声 女性キャラのみフルボイス、乃田あす実、青山ゆかり、松永亜夜、中瀬ゆき、
春日アン彩世ゆう、三上裕子、亜蒼ナノ、浅海譲
インタフェース キーボード操作不可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所 あり(1曲、ED)
おまけ ぴかるの部屋(CGぎゃらりー、イベント鑑賞、BGMギャラリー、おまけシナリオ)
対象属性 眼鏡っ娘、先輩、ウエイトレス、エプロンドレス、カチューシャ、ポニーテール、リボン、
ガーターベルト、ストッキング、銀髪、ストレートロング、触角、天使、羽根、ボブカット、
金髪、ツインテール、お兄ちゃん、黒髪、陵辱、オーバーニーソックス
1プレイ時間 4〜5時間 お奨め度 4

レビュー
概要
早くに母を亡くし、先日父を亡くした主人公は、暮らしていたマンションを
引き払い、実家に戻ることになる。しかしそこは、女性ばかりが入居する
下宿となっていた。そして、主人公は大家になることを迫られる。
しかし主人公にはある本を探すという夢があった。住人達と接しながらその
本を探しているうちに、主人公のまわりに非現実的なことが起こるように
なる。果たして主人公や住人はどうなるのか。主人公の探し求める本とは
いったい何なのか……という、ファンタジーアドベンチャーゲームです。
システム
インタフェースはキーボード操作不可。ヤな感じです。
まず、起動時に初期値が自動送りになっているため、よそ見していると話が
勝手に進みます(^^; 最初は手動にしておいて下さいよ……。

メッセージは全画面表示のノベルタイプなのですが、バックの絵が結構
輝度高いため、文字がめちゃめちゃ読みづらいです。
あと、文字の表示モードがノベルとフレームの2種類あるのですが、どちらも
表示形式は同じで文字の色が違うだけなんですね(^^;
てゆーか、フレームモードはいくらなんでも読みづらいです。
ノベルモードにしても、たまに画像の輝度が明るいところがあって、非常に
文字は読みづらいです。というか、明るくなった時点でもう一度モードを
ノベルモードに設定すれば輝度は暗くなるので、どうも内部的な輝度処理の
不具合っぽいですね。ちゃんとデバッグしよーよ。

スキップは未読/既読の判別はあるのですが、一度クリアしたことのある
シナリオしか既読扱いにならないため、あまり使い勝手は良くないです。
前半部分は何度も同じシナリオを見ることになるのですが、そのキャラを
クリアしていないとスキップすることが出来ないという……。
もうちょっと考えて欲しかったですね。
# 修正ファイルを入れることによって、一度見た話はスキップすることが
# 出来るようになります。入れておきましょう。

読み返しも搭載されているのですが、これもインタフェースがあまり直感的で
ないのと、見た目の変化が全くないので使い勝手が悪いです。
読み返し時は画面をちょっと暗くするとか、何らかの違いを出して欲しかった
ですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方は比較的軽快。

セーブ箇所は30箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
数としては微妙なところですね。まあなんとか足りるかな? という感じです。
1つ気になるのは、セーブやロードなどのメニュー画面から復帰するときは
右クリックをするわけですが、セーブやロードの枠の中で右クリックをしても
認識されないようです。わざわざ枠外までカーソルを移動させて右クリックを
しないといけないというのはかなり煩わしいですね。
# 厳密には、カーソルがセーブ箇所の上に乗ってなければいいんですけどね。

システムは移動場所選択型&選択肢決定型のアドベンチャー。
各キャラクターはそれぞれ個別の話が用意されていて、イベントに入る前に
「○○(キャラ名) ×話(話数)」が表示されます。
ただし、移動場所を決定してイベントが発生するまでは誰のイベントが起こる
のかはわりかません。

移動場所は最大で6箇所。ただし、同じ場所で複数のキャラのイベントが発生
するような状態になったときは、先にそのイベント発生のフラグが立った
ものから順番に消化されていくようなので、目当てのキャラのイベントを見る
ために他のキャラのイベントを1つ2つ見てその場所で他のイベントが起こら
ないようにしておく必要があったりします。ちょっと面倒です。
で、ここで既読スキップの問題が発生するわけで……。
# クリアしない限りスキップできないので何度も同じイベントを見せられます。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

篠原珠美。(CV:松永亜夜)
主人公と同じ大学の後輩。ちょっぴりドジで、思いこんだら一直線。
一途で健気でひたむきで頑張りやさん。いい娘すぎ(T_T)

羽場木知世。(CV:青山ゆかり)
主人公の実家の管理をしているおねーさん。下宿の管理も行っている。
非常に明るく積極的な姉御肌。

イリューシア・アゼウル。(CV:乃田あす実)
北欧の小国出身で、留学のために来日している不思議な雰囲気の少女。
日本語は非常に流暢。ただしたまにズレた言葉を使う。

柊美亜。(CV:中瀬ゆき)
下宿で唯一の男性である主人公を毛嫌いする。強気でなかなか心を開かない。

本条寺エリカ。(CV:三上裕子)
隣の家に住んでいる女の子。明るく元気でマイペース。ちょっとわがまま。
主人公のことをおにいちゃんと呼び慕う。てゆーか、「はよーん」ゆーな(^^;

御厨詩衣音。(CV:彩世ゆう)
双子の姉妹の姉。明るく気さくな性格で、誰とでも親しく話す。

御厨悠衣乃。(CV:春日アン)
双子の姉妹の妹。無口で人見知りが激しい。しかし、心を開いた相手には
非常に明るくよく甘える。


絵の方はなかなか可愛らしくて良いですね。ただ、シーンによって雰囲気が
違うように感じられる絵もありました。あと、若干線の処理で粗い部分が
見受けられますが、まあさほど気にならないでしょう。

特徴的なのは、会話の時に相手が立ちキャラ絵で表示されている場合と、
枠の中にバストアップ(よりちょっと引いてますけど)で表示される場合が
あり、試みとしてはなかなか面白いですね。
……ただ、今ひとつこれが効果的とも思えないんですけどね(^^;
普通に立ち絵を使うのと大差ないというか、枠がある分浮いているというか。

キャラクターはみんな個性的で、役割もはっきりしていていいですね。
ちょっと設定が突飛な娘もいますけど(笑)
珠美萌え。可愛すぎ(^^) とっても健気で一途でええ娘や(T_T)


声の方ですが、みんなキャラクターに良く合っていると思います。
演技の方も問題なし。安心して聴くことが出来ます。
……ただ、たまに音声がセリフの途中から再生されたり、途中でぷつっと
切れてしまうことがありました。特に、某シナリオの一番最後の締めの
セリフがぷつっと切れたときは、私の中でも何かがキレました(笑)

あと、たまに表示されているメッセージとセリフが異なっている部分が
見受けられました。「疑問を感じちゃう」と表示されているのにセリフは
「疑問を持っちゃう」だったりとか。まあ些細なことですけど(^^;

それと、このゲームは女性のみフルボイスなわけですが、エリカのパパは
音声が欲しかったですね〜。めっちゃくちゃおいしいキャラですし(^^)


音楽はシーンに合った曲が使われていて、曲単体のクオリティもなかなか。
あーんまり印象には残ってませんけどね(^^;


プロローグが終わるとオープニングアニメーションが流れます。
歌はなしで曲のみ。曲はなかなか綺麗な曲で、雰囲気もあってなかなか
いいのですが……なんか、結構ノイズ乗ってるんですけど……。
絵の方は基本的には静止画を利用したキャラクター紹介的なものですが、
演出がなかなか凝っていていいですね。

エンディングは歌あり。こちらはなかなかしっとりし曲でエンディングの
雰囲気にもばっちり合ってますね。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、下宿の管理人にさせられそうになった主人公が、下宿している
人達と触れ合いながら、夢である謎の本を探し出す……という展開です。

前半は主人公が本を探しているという描写をメインとして、女の子たちが
それを手伝ったりそれにまつわる話が出てきたりしながら進みます。
基本的に雰囲気はちょっとコミカルな明るい感じですね。

そして後半、突然突拍子もない設定が出てきて、今までのリアルな雰囲気は
どこへやら、ファンタジックな展開になります。
……しかし、よく考えたらこのゲーム、そもそもジャンルがファンタジー
アドベンチャーということなので、ファンタジックな展開になるのはある
意味当たり前なんですよね(^^;
いや、それまでごく普通の日常が描かれていたのでちょっと度肝抜かれて
しまいました(^^;

しかし問題はここから。ファンタジーな展開になるのはいいんですが、
基本となる設定が抽象的で、話も複雑に絡んでいるのでちょっと理解する
のが難しかったです。今まで現実世界にいたと思ったら突然場面が変わって
変な場所にいたりするんですが、その前後の説明が非常にあっさりしていて、
どうしてそこにいるのか、そこはなんなのかというのがすぐには理解出来
ませんでした。もう少し説明が欲しかったかも。

言いたいことはわかるけど、納得は出来ない、といった感じでしょうか。
まあ、ゲーム中で主人公も理解できていないような感じなので、ある意味
リンクしてるんでしょうけど(笑)


そしてこの難解さ、説明不足に拍車をかけているのがシナリオ間の情報格差。
あるシナリオでは設定について深く語られているのですが、別のシナリオでは
ほとんど設定については語られなかったりするため、説明が少ないシナリオを
先にクリアしてしまうと何故そうなったのか、というあたりが全然わからない
ままエンディングになってしまう、という感じです。

例えばイリューシアの2話で主人公が何を探しているのかの描写があるの
ですが、これを見ずに話を進めると、結構意味不明です(^^;
まあ、これについてはパッケージとかに説明がありますけど、イリューシアの
設定とか雅人の設定とか、ゲーム中でしか語られないにも関わらず、ほとんど
触れられていないシナリオもあるのはどうかと思います。

こんな感じで、やや難解なシナリオでなかなか話にのめり込みづらかったの
ですが、ラストはまあ綺麗にまとめたかな? という感じですね。
これ、ハッピーエンドなのか? と思えるエンディングも多かったですが(笑)
# バッドエンドはちょっぴりキツいのもあります(^^;


で、テキストについてですが……はっきり言って、致命的です。

まず、誤字が凄い。
「なんで私がこんな目にあわなきゃなんなにのよー」とか、「煙かな逃れる
ことが出来た」とか。
詩衣音が話しかけてるのに「ユイちゃんの言葉がひっかかかる」と言ったり、
「尻に引かれている」も日本語としてどうかと思います(^^;
# 世を果敢なむって何ですか(笑)

こんな感じの誤字がいたる所に埋め込まれていて、雰囲気ぶちこわしです(^^;
特に、エンディング付近の誤字はテンションに影響します……。

そして、もっと気になったのは行末の処理。「す。」とか「?」だけが次の行に
表示されることが多々あり、かなり気になります。
特に「?」だけが次の行に表示されている箇所が非常に多く、ワザとやっている
ようにしか思えません。禁則処理って、知ってます? って感じです(^^;

こんなのちょっとテストプレイしたら気付くと思うんですけど、これでOKだと
思ったのでしょうか? ホントにワザとやってるんでしょうか……。

ともかく、シナリオ云々を言う前に、このテキスト関連の問題をなんとかして
下さい、って感じですね。ノベルタイプのゲームでは致命的でしょう……。
プレイ時間・難易度
ワンプレイは4〜5時間。狙ったキャラ以外の話をどれだけ見るかで変わって
来るとは思いますけど。

難易度は比較的簡単……ですかね。移動場所選択で誰のイベントが発生
するかわからないというのと、同じ場所でイベントが発生する場合は順番に
見ていかないといけないなどはありますが、基本的に狙ったキャラとの話を
進めていけばいいだけですし。選択肢も比較的素直だと思いますし。
総評
お奨め度ですが……難しいところですね(^^;
ちょっぴりファンタジックな恋愛ストーリーが好きな人にはお奨め……と
いったところでしょうか。

難解で抽象的な設定、突拍子もない展開も相まって、謎解き的な要素もあり
ますし、ミステリータッチな展開もありますので、そういうのが好きな人
にもいいかもしれませんね。

ただ、システム的な売りである「クリアノベル」と「フレームウインドウ」が
ことごとく失敗しているような気がします。
クリアノベルは輝度の高い絵の上でずっと文字を見ないといけないのでいくら
文字だけを見やすくしてもやっぱり目が疲れます。
……文字もあんまり見やすくないですけど(^^;
フレームウインドウは、普通の立ち絵キャラとフレームキャラが同時に表示
されるとやはり違和感があります。まるで修学旅行に欠席した人の卒業アル
バムの集合写真のように(笑)
まあ、これらは既存のノベルタイプゲームに慣れすぎたから感じることかも
知れませんが、多くの人はそういうのに慣れていると思うので同じような
感想を抱くのではないでしょうか。

他にもインタフェースに関しては、読み返しが直感的でない、設定やセーブ
画面からの復帰がやりづらい、スキップがクリアしたことのあるキャラの
イベントしか飛ばせないなど、かなり貧弱な印象を受けます。
ノベルタイプのゲームですからそれほど凝ったシステムはいらないと思い
ますので、最低限の機能だけを備えたシンプルなシステムにしても良かった
のではないでしょうか。ちょっと残念です。
# 修正ファイルの適用でちょっとだけマシになります。スキップとか。

あと、音声がセリフの途中から始まったりするなど、システム的な問題が
ちょっと目立ったような気がしますね。

そして、あちこちに見受けられる数々の誤字。もう少ししっかりテストプレイを
して、誤字も潰しておいて欲しいです。盛り上がってきているところに派手な
誤字があると萎えます……。
致命的なテキストの読みづらさと貧弱なインタフェース、そして音声周りの
問題などもあって、いまいち作品に入り込むことが出来ませんでした。

設定はなかなか興味深いですし、絵も可愛いですし、キャラクターも活き活き
してますし、声優さんの演技も良好。なかなかいい素材が揃っているだけに、
システム周りの問題が残念でなりません。
システム周りがもっとしっかりしていれば、お奨め度は2点ぐらい上乗せ出来た
と思います。


最後に、「私のこと、タマちゃんって呼んで下さい!」……可愛すぎ(^^)



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