Wish 〜終わりゆく世界で〜
ブランド名 Selfish ジャンル 官能サスペンスアドベンチャー
発売日 2002.04.05 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x223x42mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 372.7MB+CD-DA=595.4MB、CD-DA16トラック
原画 綾風柳晶 シナリオ 密澤和泉、すずきこうじ、反転星
音声 あり
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所 あり(1曲、ED)
おまけ CG鑑賞モード、Hシーン回想、音楽鑑賞モード
対象属性 感動、サスペンス、ストレートロング、リボン、天然娘、ピンク髪、ポニーテール、
オーバーニーソックス、ボクっ娘、お兄ちゃん、妹、ボブカット、レズ、ボケ姉さん(笑)
1プレイ時間 2〜3時間 お奨め度 8

レビュー
概要
「魔女狩り部隊」と呼ばれる暗殺部隊に所属していた主人公。しかしある事件を
きっかけに部隊を抜け、街を彷徨い歩いていた。そしてとある街で力尽き、倒れた
主人公を1人の女性が助ける。その女性と触れ合ううちに、主人公の心はしだいに
癒されるが、実はその女性には重大な秘密があった。
「これ以上大切な人を失いたくない」と強く思った主人公は、なんとか彼女を
助けるために未来を切り開こうとする……という、サスペンスアドベンチャー。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
メニューバーも何故かキーボードで操作できないという不思議な仕様(^^;
既読/未読判別スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。ただしバックログは
バッファがかなり小さくて、数ページ分しか戻れません。
それと、メッセージスキップはやや動作が遅めです。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方は比較的軽快。

セーブ箇所は30箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
それほどセーブ/ロードが必要なゲームでもないですし、選択肢の数もさほど
多くありませんから、これだけあればまあ足りるでしょう。
ただ、エンディングの数がそれなりにあるので、欲を言えばもう少しあっても
良かったかも。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
ただし、シナリオをクリアすると選択肢が増える選択肢追加型のシステムで、
最初に見られるエンディングは限られているようです。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

有坂ゆかり。倒れた主人公を開放してくれた女の子。
非常にマイペースでのほほんとしており、他人を自分のペースに巻き込む。
とても優しく他人思いだが、実は頑固。ちょっぴり天然入ってる(^^)
# ミルクかぶり姫(笑) ←なんかエッチ(^^;

長谷部奈央。ゆかりが所属する研究室の教授の娘。
ゆかりの面倒を見ている元気っ娘。ゆかりに近づく主人公を毛嫌いする。
# 貧乳娘。二次元胸(笑)

京。主人公の元同僚。戦闘能力に関してはずば抜けているが、人間嫌いで
感情に乏しく、あまり気持ちを表現しない……割には表情豊かなんですが(^^;
# ウシチチオンナ(笑)

千砂。主人公の妹。不治の病に冒されており、主人公はその病を治すための
お金を稼ぐために魔女狩り部隊に所属するが、そこで悲劇が……。


絵の方は可愛い……のですが、どうも線の処理なんかが大雑把に見えますね。
塗りも今ひとつ丁寧さに欠けるような気がします。
そのために全体的にややチープな印象になっていますね。勿体ない。

キャラクター自体は非常に個性的で活き活きと描かれており、表情も豊かで
見ていて楽しいです。呆れたときの半目の絵なんか、すっごい好きです(^^)

どのキャラクターも魅力的なんですが、やっぱりゆかりさんが好きかな。
京もなかなか可愛らしいですし、奈央も健気でいいんですけどね。


音声はキャラクターによく合っていていいですね。ゆかりさんのほのぼのした
雰囲気や、奈央のきーきーやかましいところ(笑)などもばっちりです。
……すっげーどこかで聞いたような声の人ばかりだったりしますけど……(笑)

演技の方も全く問題なし。見事に作品を盛り上げてくれています。
メッセージをそのまま棒読みするわけでもなく、必要な所は息づかいもきっちり
入れられており、しっかりシーンを考えて演技されていると感じました。

ただ一点気になるのは、主人公の名前が可変のために呼びかけ部分は音声が
なくなって、それがちょっと不自然でした。一部呼びかけを「あなた」や「彼」
にしてあるところはあるのですが、他の所も上手くセリフ回しを考えて欲しい
ところですね。


音楽に関しては、ほのぼのとしたものからしんみりした曲まで幅広く揃えられ
ており、シーンにあった曲が使われています。やや音数が少なくて薄っぺらく
聞こえてしまう曲があってちょっと勿体ないですが、出来は良い方でしょう。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、あてもなくあちこちを彷徨い歩いているうちに倒れてしまった
主人公をゆかりさんが助け、なんとなくゆかりさんと一緒に暮らすうちに様々な
事実が明らかになり、そして主人公は生きる目的を見付ける……という、やや
シリアスタッチの話になっています。

ただし、ゆかりさんが非常にほのぼののほほんとした天然ボケキャラなので、
前半は比較的明るいコミカルなほのぼのとした展開が続きます。

生きる目的を失った主人公が、ゆかりさんの雰囲気に触れているうちに徐々に
癒され、穏やかになっていくあたりは非常によく描かれています。

そして後半、一転してどシリアスな展開に。

この作品はまず話のベースとなるシナリオを最初のプレイで読ませて、その後
そのシナリオから話を展開させていくという形式を採っています。
なので、最初に見られるエンディングは(おそらく)1つだけです。

そしてこのエンディングですが……いい。むっちゃくちゃいい。最高。
もうだくだく泣きながらプレイしていました。キャラクターの言葉1つ1つが
重く、ぐいぐいとシナリオに引っ張り込まれていました。

ラストの展開も素晴らしく、最高潮に達したところでエンディングに入ると
いう演出のタイミングもばっちりで、プレイ後も余韻たっぷりでした。

そしてエンディングの歌、最高。
エンディングの雰囲気を壊さず、ゲームの内容を踏まえた素晴らしい歌です。
染み入ってくるような感じですね。

ただ、歌と絵が同期しておらず、映像が終わってもまだ歌が流れているのが
ちょっとあれですが(^^;
冷静に聞くと、歌自体もややパワー不足に思えるんですけどね(^^;
それだけシナリオのラストからエンディングへの持って行き方が素晴らし
かったということで。

この1st ENDを見ただけで、もう大満足という感じです。


そして2回目のプレイからは、1回目のプレイでは出てこなかった選択肢が
現れ、今まで出てこなかったキャラクター達が登場することになります。

このキャラクター達も活き活きと個性たっぷりに描かれていていいですね。
ゆかりさんのほのぼの天然っぷり、奈央の元気っぷり、京のだんだんみんなと
うちとけていくところなど非常に上手く描かれています。

キャラクター同士の掛け合いも非常に楽しくていいですね。
奈央と京のやりとりは見ていて微笑ましいです(^^)

ただ、シナリオ自体はいまいちパワー不足というか、どうしても取って付けた
ように感じてしまいました。1st ENDの出来があまりにも良かったために、
どうしてもそれを越えられないと言うか。

後半の展開はやや突飛で演出も今ひとつ、ラストは綺麗にまとめてはいるの
ですが、余韻が残るほどのものではありませんでした。
てゆーか、TRUE ENDにもエンディングに歌がないんですけど……。
どうやらこのゲーム、1st ENDがメインのようですね。


あと、誤字がやや気になりますね。
「そんなことないよー」が「そんなのことないよー」と書かれていたり、
「体丈夫と言っても」が「体大丈夫と言っても」になっている程度の些細な
ものが殆どですが。
# パッケージでは「自暴自棄」が「自暴時期」と書かれてたりとか(笑)


一部状況説明メッセージがセリフのように扱われている部分もありました。
「俺は思いっきり頭を左右に振った」なんて口に出して言わないだろ(笑)
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は約1週間。1日ずつプレイしていく形ですが、あまり日にちは気に
する必要はないでしょう。

ワンプレイは2〜3時間。プレイしやすい長さだと思います。
テキスト量はそれなりにあるのですが、テンポよく話が進むのですらすらと
読める感じで、全く苦ではありませんでした。
シナリオは非常に先が気になる吸引力のあるシナリオなので、時間を忘れて
プレイしていました。

難易度はやや高め? 最初のプレイでは特定のENDにしか辿り着けないのですが、
1度クリアすると選択肢が増えてかなりの数のエンディングが追加されます。
何度かプレイすればどこで分岐するかは見えてくるとは思うのですが、全ての
エンディングを見るのはちょっと手間かも知れませんね。
ただ、もしバッドエンドになっても、どこが悪かったのか説明してくれますし、
大きな分岐は比較的わかりやすいので、まあなんとかなるでしょう。
ただ、エンディングが全部でいくつあるのかわからないために、どうすれば
いいのか予測が付きにくいのと、TRUE ENDを見るのはちょっと手こずるかも
知れませんね。私は案外すんなり行けたんですが……。
総評
お奨め度ですが、シナリオ重視のサスペンスアドベンチャーが好きな人には
お奨め。特に1st ENDは秀逸です。だくだく泣きました。
逆に、HAPPY ENDやTRUE ENDは今ひとつ物足りなかったのですが……。

全体的にやや荒削りな印象がある作品ですが、所々で素晴らしい所があり、
もう少し丁寧に作り込めばかなりいい作品になったと思います。

とにかく1st ENDは必見。はっきり言ってこれさえ見れば任務完了って感じ
です(笑)
1st ENDが素晴らしく、美しく、インパクトが強いものだったために、それ
以降のエンディングがどうしても取って付けたようなご都合主義のエンディ
ングに見えてしまうのはちょっと勿体ないですけど。
一応複線はありましたが、突然不思議系の話になってみたり、アクション
メインになってみたり……。
ただ、1st END以外もシナリオの出来としては充分合格点なのですが、
それだけ1st ENDのインパクトは強烈でした。もう文句なし。
とにもかくにも、1st ENDだけでいいから見てみてください、という感じです。


最後に。「あなたが私を受け入れないから、思わずゆかりさんに走っちゃった
じゃないですかぁ」……いや、そんなこと言われても(^^;



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