CROSS†CHANNEL
ブランド名 Flying Shine ジャンル 学園青春ADV
発売日 2003.09.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(155x225x50mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 システムディスク : 491.2MB、CD-DAなし
データディスク : 442.1MB、CD-DAなし
原画 松竜 シナリオ 田中ロミオ
音声 主人公以外完全フルボイス、児玉さとみ鳩野比奈中瀬ひな、楠鈴音、榎津まお
理多、鵜乃瀬朱香、十文字隼人、牛久京也、間寺司、鈴木舞香
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 あり(1曲、ED)
おまけ CG鑑賞、シーン回想、BGM鑑賞
対象属性 学園物、ストレートロング、ブルマ、後輩、黒髪、ショートカット、眼鏡っ娘、先輩、
ボブカット、ヘアバンド、幼なじみ、オーバーニーソックス
1プレイ時間 15〜19時間 お奨め度 6

レビュー
概要
放送部に所属する主人公。しかしその放送部は部員達の心がバラバラになって
おり、マトモな活動は行われていなかった。夏休みの終わり、無理やり実行した
合宿から帰ってきた皆は、それぞれの思いを胸に毎日を過ごす。部長が組み
立てている放送用のアンテナ。これが完成したとき、果たしてみんなはどうなって
いるのだろうか……という、学園青春ADV。
……ネタバレしないように概要書くの、すっごい難しいです(^^;
意味不明だったらすみません……。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

桐原冬子(きりはらとうこ)。(CV:楠鈴音)
お金持ちのお嬢様。わがままで、主人公にことあるごとに突っかかってくる。
反転型勝ち気娘。

七香(ななか)。(CV:理多)
通学路で激突した謎の少女。幼なじみの雰囲気を持つ。
漢字で書くよりひらがなで「ななか」と書く方が萌える(笑)
上司のパソコンを卑語まみれにするアホな親を持つ(^^;

山辺美希(やまのべみき)。(CV:榎津まお)
主人公の後輩。明るく元気でとてもノリがいい。シモネタにも平然と付いてくる。
喋り出すと止まらないし、喋ろうとするのを止めることも難しい。

佐倉霧(さくらきり)。(CV:中瀬ひな)
美希の友達で主人公の後輩。やや無口で冷めた印象のある少女。
主人公のことを毛嫌いしている。むしろ敵視している。

宮澄見里(みやすみみさと)。(CV:鳩野比奈)
放送部の部長。おっとりのほほんとしたマイペースな人。
主人公のことを「ぺけくん」と呼ぶ。……「黒須」だからですか(^^;

支倉曜子(はせくらようこ)。(CV:児玉さとみ)
主人公の幼なじみ。無口で無感動。ほとんど表情変化がなく、淡々と話す。
異常なまでの身体能力・技術を誇り、完全に気配を消して近づいて来たりする。
主人公とはただならぬ関係で、常に主人公のことを第一に考える。

福原みゆき(ふくはらみゆき)。(CV:鈴木舞香)
放送部の後輩。大人しく、自己主張の弱い地味っ娘(笑)

堂島遊紗(どうじまゆさ)。(CV:鵜乃瀬朱香)
主人公の後輩。控えめでおとなしい娘。

絵の方はなかなか可愛らしいのですが……ややシーン毎にばらつきがあり、
さらに塗りが今ひとつ絵に馴染んでいない感じで、ちょっと違和感を覚える
ことがありました。
立ち絵はポーズ変化・表情変化とも豊かで、アクションも大きいため、感情が
よく伝わってきます。特に美希のアクションはすっごい好きです(^^)

キャラクターは一癖も二癖もある奴らばかり。無茶苦茶な言動や突飛な行動が
多く、しかも最初はキャラクターの設定がまったく語られないまま話が進むため、
各キャラクターの行動原理が全くわかりません(^^;
話が進めばある程度理解は出来るのですが、その頃には最初と違った言動を
とるキャラクターも出て来たりして、キャラの混沌っぷりは壮絶です。
とりあえず、美希LOVE☆

音声はキャラクターのイメージともぴったりで、演技も申し分なし。
美希の明るく元気でのーてんきな所や、見里のほのぼのとした雰囲気、曜子の
抑揚のない喋りや霧の怒鳴り声(笑)など、聴き所満載です。

音楽はピアノをメインにした綺麗で静かな曲が多め。ただ、コミカルな曲や
激しい曲もきっちり用意されています。

エンディングは歌あり。ちょっと切ない、でも力強い歌が、とても作品の雰囲気と
マッチしていると思います。
システム
インタフェースはややキーボードサポート。
メッセージ送りや選択肢決定はキーボードでできるのですが、セーブ/ロードや
スキップなどの特殊な動作はキーボードでは出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。
バックログですが、あまりバッファが多くないようで、ちょっとしか戻れない
ためやや使い勝手が悪いかも。
あと、初期設定ではスキップが強制スキップになっているので注意。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、章のタイトルと選択肢でセーブした場合は
「選択肢」と記録されます。……選択肢以外の所でセーブすることって、
そーんなにない気もしますけど(^^;
数としては充分。選択肢全てでセーブしても余るのでは。
あと、設定でオートセーブが可能になるのですが、オートセーブをONにすると、
不具合が発生するようで注意が必要です。メーカのサイトで配布されている
修正ファイルを入れれば問題ないようですが。

システムは一見オーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
ただ、シナリオの構成がちょっと特殊で、ストーリーの展開が一風変わって
います。
シナリオ・プレイ感
で、シナリオなんですが……このゲーム、ネタバレなしにシナリオの紹介を
するのが非常に難しいです。てゆーか、無理(^^;

なので、1周目のシナリオについてと、あとは全体的な印象に焦点を絞って
書いていきたいと思います。

ただ、それでもある程度ネタバレが含まれてしまうと思いますので、極端に
ネタバレを嫌う人は読まないほうが無難かもです。





ゲームは放送部の合宿から帰ってきたところから始まります。
新学期が始まり、閑散とした学校で思い思いに過ごす部員達。そんな部員達と
触れ合いつつ、部員達の絆を深めていこうとする主人公……という感じで話が
展開していきます。

前半は、とてもコミカルな展開が続きます。……ぶっちゃけて言うと、かなり
電波臭の漂うおバカシナリオです(^^;
主人公が極度におバカなセクハラ野郎で、言動はひたすらバカ&エロ。
「乳首が風とコラボレーションする」……もうわけわかりません(^^;
# お兄ちゃんの同義語にも聞こえかねない反問、「あにぃ?」(笑)

後半はシリアスな重い展開になったりしつつも、爽やかにまとめる感じ。
ただ、シリアスなシーンでも主人公の言動は基本的におバカであるため、
今ひとつ緊迫感がありませんが(^^;

まず、この作品は非常に特殊な背景の上に成り立っていて、かなり変わった
設定になっています。しかし、そういった説明が全くないまま、ゲーム世界に
放り込まれます。
さらに、主人公を初めとして、各キャラクターはそれぞれ特異な設定を持って
いるのですが、そのあたりの説明も一切なし。それ以前に、主人公との関係
すらほとんど描かれないまま話が始まるため、最初は全く理解できません。
# お前誰だよ、いつ知り合ったんだよ、って感じ(^^;

しかし、それは全て計算されたことでした。全然わからないまま話を進めて
いって、1周目のラスト。最後のセリフで全てを悟ったような感じです。
これを見たときは正直「やられた」と思いました。全て計算され尽くした、
見事な演出ですね。体中の感覚が一気に研ぎ澄まされたような感じでした。

そして、プレイを続けていくとどんどん設定が明らかになっていき、各キャラ
クターの抱く思いや行動理念が明らかになっていきます。ですので、とても
先が気になる、引き込まれるような感じのシナリオになっています。
最初は矛盾と思えたことも、プレイを進めると納得できるという、かなり
意外で斬新な作りになっています。

ただ、最初に見たときは意味がわからなかったり誤解したりすることがある
のも事実で、後からそれが説明されていてもそのこと自体をしっかりと覚えて
いなければ、その説明自体が意味不明になりかねないですね。
一気にプレイしている分にはいいでしょうけど、何日もかけてじっくりプレイ
していると、最初の方の話を忘れてしまいそうです。諸刃の剣ですね。
最初の方は、主人公とプレイヤーの間の情報格差も酷いですし。
# 主人公の設定すら、わからないまま話が進みますから。

あと、キャラクター同士の会話はなかなか楽しいですね。基本的に主人公は
おバカですし、それに感化された美希や元々ベクトルのずれている桜庭など、
コミカルな会話が多いです。まあ、ほとんど主人公のセクハラですが(笑)
しかし、キャラクターの言動がシーンによってころころ変わり、キャラクター
同士の関係もなかなか説明されないため、ここでも結構意味不明な部分や、
誤解を招くところが多々ありますね。特に、キャラクター同士の関係自体も
ころころ変わったりしますので、非常に理解し辛いです。
設定では、放送部のみんなは気持ちがすれ違いバラバラになってしまったと
なっていますが、1周目をプレイしたときは、そんなこと全く感じませんでした。
むしろ仲良しに思えたのですが……。

H度はキャラによってかなり差がありますね。1回だけのキャラもいれば、
複数回用意されているキャラもいますし、シチュエーションや内容も様々。
尺にもかなり差があります。ただ全体的に見るとH度自体はそこそこ高め。
描写も丁寧で、臨場感もあります。ただ、Hシーンに到達するまでが限りなく
長い道のりなのはちょっと辛いですが。キャラクターによってはホントに
最後の方にならないとHシーンがなかったりしますしね。

テキストはちらほら誤字が見うけられます。しかも、作中で意図的に誤字を
している部分がかなり多く、会話のノリもかなり独特で、慣れるまではやや
読み辛いかもしれないですね。テンポは非常にいいのですが。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は……1週間かな? これもどう書いたものやら、という感じです(^^;

ワンプレイは1周目が終わってエンドロールが流れるまでが約3時間。
……なのですが、このゲーム、最後までプレイしてやっと話が完結するので、
1周の時間ってあんまり意味ないんですよね。1周終わってもタイトルメニュー
には戻らずそのまま話が続きますし、1周が終わっただけではおまけモードも
出て来ませんし。
なので、最後のシナリオが終わるまでをワンプレイとして、15〜19時間という
ところでしょうか。やたら幅がありますが、これは進め方によっては見なくても
先に進めるシナリオがあるためです。そのシナリオをスルーして15時間、全て
のシナリオをじっくり見て19時間といったところでしょうか。結構長いです。
先に進む選択肢に気付かず何度も同じシナリオを見てしまうともっと時間が
かかりますけど。
きっちりプレイすれば1回のプレイでコンプリート出来ると思いますので、
コンプリートに20時間と考えればまあ並かとも思うのですが、話が抽象的で
やや難解で、しかも重くキツい話が淡々と続くため、実際のプレイ時間より
長く感じました。

難易度は低め。常識的に進めていれば、エンディングには辿り着けると思い
ます。……まあ、選択肢自体が非常識なものもありますが(^^;
ただ、シナリオの分岐に気付きにくく、進め方によってはいくつかのシナリオを
見ないままエンディングに向かってしまうので注意が必要です。
見逃した場合、どこで見逃したのか気付きにくいですからねー。
総評
お奨め度ですが、SF的な不思議ストーリーが好きな人にお奨め。サイコな
展開があったり、突飛な設定のキャラがいたり、そもそも世界設定がかなり
特殊だったりと、その手の話が好きな人にはたまらない設定になっています。
ただ、そういった設定の説明が全くなされないままストーリーが始まるので、
理解するにはかなり時間がかかると思います。しかも、設定は全てきっちり
説明されているわけでもなく、ある程度は自分で考える必要があります。
なので、設定が全て説明されないと気持ち悪いという人には、ちょっと向いて
いないかも知れないですね。

そして、最初はコミカルでライトエロ(むしろセクハラ)な展開が続くのですが、
後半になるとかなりキツい、むしろエグいシーンが出て来たりしますので、
ラブラブ純愛学園物を求めている人は回避したほうが無難です。
かなり手痛いしっぺ返しを食らいます。ええ、ヘコみましたとも(^^;

おバカな主人公やコミカルな会話が目立ちますが、基本的にかなり重たい
ダークな話ですので、プレイするときは心しておくべきでしょう。
そもそも、何も考えずにプレイしていると、まったく設定が飲みこめないまま
終わってしまいかねません(^^;

とにかくひたすらプレイする人を選ぶゲームで、しかもキャラクターもゲーム
自体も、一見したときの印象と本質が全く違うので、判断に困る作品です。
さらに、設定自体がストーリーの根幹に関わるため、レビューを書くときも
それに触れることが出来ないので、紹介すらもし辛いという(^^;

なので、判断は全て皆さんのフィーリングにお任せします。
ポイントとしては「最初は設定や背景の説明が全くない」「主人公がおバカで
会話はコミカル&セクハラ」「しかし根底はシリアスで、ダーク&エグいシーンが
結構ある」「何の説明もなく新たな設定が出てくる」「ハッピーエンドと言える
のか疑問の終わり方」あたりです。
「これは私に合うに違いない」と思った人は、腹を括って突撃してください。
# そして、玉砕してください(笑)

ただ、会話のノリはいいですし、設定も結構しっかりしてますし、謎が徐々に
明らかになる、引き込まれるような力のあるシナリオはなかなか凄いと思い
ますので、作品としてはなかなか良く出来ていると思います。
もうちょっとプレイヤーに対する優しさが欲しかったですけどね。
せめてもう少し主人公とプレイヤーの情報格差はなくして欲しいものです。
あとひといきですっごい名作に化ける可能性のある作品だと思います。
# プレイする人選びすぎな気はしますけど(^^;

……私、ちゃんとレビューできた?(笑)
こんな「判断は任せる」なんてレビュー書いたの初めてかも。
レビュー書きにくいねん!!(^^;

最後に。「ロリコンは病気です。」(笑)
# 「下着をダウンロードします」=「パンツずりおろします」(爆笑)


こんなレビューではあまりに消化不良なので、以下にネタバレ全開で思った
ことを書きたいと思います。プレイ前に見たら絶対ゲームがつまらなくなる
こと請け合いです(笑)


このゲーム、ぶっちゃけ同じ時間を何度も繰り返しプレイするタイムループ
アドベンチャーになっているのですが、修正ファイルを入れてない状態で
オートセーブをONにすると、ホントにループするのはギャグですか?(笑)
# そんな捨て身のギャグはいりません(^^;

そして、合宿から帰って来たら人類が滅亡していた、という話になっている
わけですが……何をどう判断して「全人類」が滅亡した、と?(^^;
日本国内だけでなく、アメリカまで全滅したことになってるし……。
しかも、いきなりその状態に放り込まれた割には、みんな落ち着きすぎ(^^;
# 何周目かで、美希が取り乱してましたけど。

そもそも、「適応係数」の説明が満足にされないので、各キャラクターの行動
原理が非常に掴み辛いですね。何が原因で群青学園に入れられたのか、
あまり説明されてないキャラもいますし。
前の週ではらぶらぶだったヒロインが、次の週ではいきなり殺戮魔になって
いたりと、ついていくのも大変でした。つーか、美希に人殺しはして欲しく
なかったよ……(T_T)

そんな意味不明なシナリオでしたが、ところどころハッとさせられるような
ところもあって、トータルで見れば楽しめたかな? という感じです。
会話は面白かったですしね。

結局、「生きている人、いますか?」このセリフが全てを握っていたような気が
します。1周目のこのセリフ、めちゃめちゃ痺れましたし。
このセリフを見た瞬間、設定やら背景やら今まで謎だった言動が一本の線で
繋がったような感じでしたからねー。この演出は脱帽です。
# まあ、あとからどんどん設定は追加されていくわけですが(^^;

結局、私も未だに自分の中で消化しきれていない部分があるために、こんな
レビューになってしまいましたけど、これだけ考えさせられる作品は久しぶり
でした。そして、これだけレビューの書きにくい作品も久しぶりでした(笑)

てゆーかさ、七香って何者やねん!(^^;
# 母親って言われても(^^;

そもそも、あの世界って一体何なのでしょうか。
もしかして、えいえんのせかい?(笑)



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