Night Demon-夢鬼-
ブランド名 アリスソフト ジャンル コマンド選択式ADV
発売日 2003.08.29 定価 \7,500
パッケージ 紙製パッケージ(188x239x27mm) マニュアル B5ブックタイプ
DISC容量 2.69GB(DVD-ROM)
原画 CARNELIAN シナリオ とり
音声 なし
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 20箇所 なし
おまけ アルバム(CGモード、回想モード、音楽モード)、EPISODE BUTTON、アリスの館
対象属性 純愛、着物、和服、リボン、黒髪、ボブカット、ピンク髪、オーバーニーソックス、
ツインテール、ボンデージ、お下げ、金髪、紫髪、エプロンドレス、ゴスロリ、
関西弁、メイド
1プレイ時間 15分〜5時間 お奨め度 3

レビュー
概要
13年前に「ツヅキ」と呼ばれる謎の現象が原因で最愛の姉を亡くした主人公。
バーテンをやりつつ日々を自堕落に過ごしていたある日、「夢鬼(ゆめがみ)」
であるという少女が現れる。時を同じくして、不思議な夢を見るようになる
主人公。その頃を機に、主人公の周りの人間関係に少しずつ変化が現れる。
果たして主人公の運命は、異変の原因は……という、アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

柳条ましろ。(りゅうじょうましろ)
主人公の親友・黝簾の娘。物静かでおとなしく、ほとんど口を利かない。

那須雪花(なすせつか)。
ましろの家に住み込みで働く家政婦。優しくてよく気が利く。下ネタは苦手。

小田巻日陽子(おだまきひよこ)。
通称・ぴょこ。主人公のセックスフレンド。
細かいことは気にしない、明るく元気な女の子。

英田莉々子(あいだりりこ)。
ましろの友達。ましろのことをとても大切に思っている優しい娘。

吹留夜深(ひいどめやみ)。
主人公の暮らす街一帯を仕切っているリーダー。気が強く荒っぽいが、実は
結構気の利く女性。

瑠紫琉(るしる)。
夢の世界から来た『夢鬼』を名乗る少女。思ったことははっきり言う、とても
あけすけな娘。なぜか関西弁。

絵の方はとても綺麗で可愛らしいですね。すっきりとしたシャープな絵柄で、
あまりクセもなく受け入れやすいかと思います。服装がとても丁寧ですね。
CGの処理も綺麗ですね。繊細な絵を上手く活かしていると思います。
立ち絵は表情変化はなく、メッセージウインドウ横にフェイスウインドウが
表示され、そこで表情変化が描かれるようになっています。表情は豊かで、
会話の内容によく合った絵が使われていて感情移入しやすいと思います。
立ち絵の服装が季節によって変化するのはなかなかいいですね。

キャラクターはいろんなタイプのキャラクターいるのですが、あまり強烈に
自己主張してくるようなキャラクターは少なく、やや印象が薄い感じです。
どちらかというと控えめなキャラクターが多いですね。
そんな中、強烈な個性を放つ瑠紫琉萌え(^^)
とても親しみやすいキャラクターで、感情移入しやすかったです。
そして、莉々子LOVE(^^) めちゃめちゃ健気でええ娘や(T_T)
日陽子も結構好きですけどねー。

音声はなし。会話主体で進んでいくので、ちょっともったいないかも。

音楽ですが、曲単体で聴く分にはなかなかいいのですが、どうもシーンと
合っていないことが多いように感じました。シリアスなシーンで、ちょっと
コミカルな雰囲気の漂う曲が流れていたりとか。

オープニング・エンディングともに歌はなし。ただ、エンディングはどの
エンディングかで使われている曲が違っていて、雰囲気は良く出ていますね。
あと、おまけの音楽モードはTRUE ENDを見ないと選択できないようです。

このエンディングですが、スキップが出来ないのは結構辛いです。
おまけ系のエンディングを見るときに特に感じます。おまけ系のエンディング
なんて、メッセージスキップを使えば数分で終わるのですが、エンディングを
たらたら見せられるとそこで時間を食ってしまいます。ヘタすると、プレイして
いる時間より、エンディングの時間の方が長かったりしますので。
もう少し配慮が欲しいところですね。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。
ただ、未読の文章もたまに既読として扱われることがありました。
どうも全画面表示のメッセージには既読フラグがないっぽい感じです。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方はやや重め。
通常はそれほどレスポンスは悪くないのですが、選択肢やメニューなどの
描画にエフェクトがかかっているため、ちょっと待たされます。設定でOFFに
出来れば良かったんですけどねー。

セーブ箇所は20箇所。セーブ/ロードは特定のセーブポイントでのみ可能です。
セーブポイントは、日付が変わるときと、その日どこに出かけるか移動場所を
選択するときに出現します。日付が変わるときは、自動的にセーブ画面が開く
ようになっています。……が、この仕様、繰り返しプレイ時はややウザいです。
メッセージスキップをしていても、必ずセーブ画面が開くため、それを閉じて
またメッセージスキップを始める……ということをしないといけないので。
そして、ロードは移動場所選択時にのみ可能で、それ以外の場所では出来
ないようになっています。しかもタイトルに戻る方法もないため、一度ゲームを
終了させて再起動する、なんてことをしなければなりません。面倒すぎ。
セーブデータはセーブ日時の他、季節と、自由に記述できるコメントが保存
されます。数としてはエンディングの数が多いためやや物足りないでしょうか。
……まあ、エンディングの大半はセーブの必要もない、どーでもいいような
エンディングですが(^^;

システムは移動場所選択&選択肢決定型のアドベンチャー。
移動場所選択も何処に行くかの選択肢を決定するようなタイプです。
あと、特定の条件を満たすとエンディングや選択肢が増えるようになって
います。いくつかのエンディングは、1回見たら二度と見られない気が……。
# おまけの回想で見られますが。

メッセージ表示は、会話部分はメッセージウインドウ表示ですが、説明文など
いわゆる「地の文」は全画面表示になっています。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、主人公が姉の法事に行くところから始まります。そこで親友の
娘・ましろと久々に逢い、引きこもって誰とも喋らなくなってしまったましろの事を
心配し、なんとか心を開かせようとする……というのがメインとなるストーリーの
ようですね。

前半はキャラクター紹介的なストーリーが淡々と進みます。
会話の内容もいまひとつ盛り上がりがなく、とてもあっさりしています。

そして後半ですが、ヒロインの抱えた悩みを解決するストーリーがやっぱり
淡々と進みます。それなりに起伏はあるのですが、今ひとつ盛りあがりに
欠ける感じでラストもあっさり終わってしまう印象です。

このシナリオを一言で表すとしたら……『淡白』。
起承転結がとてもはっきりとしたシナリオ構成になっているのですが、どうも
盛り上がりに欠け、淡々と進む印象が強いです。
淡白さに拍車をかけているのがサブヒロインの扱い。このゲーム、メインの
ストーリーですらましろ、瑠紫琉、雪花、あとちょっぴり莉々子が絡んで来る
ぐらいで、キャラクター同士の会話がほとんどありません。
サブヒロインのシナリオにいたっては、対象となるヒロイン以外、殆ど出て
こないことすらあります。
これでは話に広がりが出るはずがないと思いますし、会話も楽しめません。
非常にもったいないですね。

このゲーム、サブキャラの扱いがあまりに酷いですね。一応エンディングは
用意してあるものの、どれも取って付けたようなエンディング。Hシーンすら
ないキャラもいます。そもそも、メインルートの中にサブキャラのイベントが
挿入される感じで、サブキャラのシナリオに入っているときは、朝とか夢の
イベントはほとんど無意味です。しかもそれをほったらかした状態で脇道に
逸れてエンディングに入るため、肩すかしを食らったような感じです。
(おそらく)TRUE ENDを見ないとサブキャラはクリアできないようにするなら、
そのあたりの制御はきっちりやっておいて欲しいところです。
サブキャラの中でも日陽子は特に扱いが酷くて、違う意味で泣けてきます。

そして、説明不足も目立ちますね。ツヅキや夢鬼など、特異な設定が殆ど
説明なく平然と出てくるため、慣れるまで結構大変でした。
さらに、1つの季節でプレイする日が数日だけだったりするため、話が突然
飛ぶように感じることも多く、かなり唐突に思いました。初対面の人物と話し、
次のシーンではもう当たり前のように一緒にいたりとか。
唐突な展開、いつの間にやら当たり前になってる変な設定、当然のように
存在する(プレイやーにとって)初対面の人物など、話に脈絡なんてあった
ものではなく、感情移入も出来たもんじゃないです。
もう少しプレイヤーと主人公の情報格差はなくして欲しいですね。

しかも、そういった設定がいっぱいある割には、それがシナリオ中であまり
効果的に利用されておらず、これが物語の盛りあがり・広がりのなさに拍車を
かけていると思います。主人公がバーテンだという設定や、アコーディオンを
やっているという設定も、あまり利用されていないように感じました。
タイトルとなっている「夢鬼」という設定さえ、メインシナリオの最後に取って
つけたように出てくるぐらいで、サブシナリオではもはや無意味です。

H度ですが、メインヒロインであるましろと、セックスフレンドである日陽子に
関しては複数回用意されており、描写もそこそこ濃いです。
しかし、サブヒロインに関してはほとんど1回のみ、ヘタするとHシーンのない
ヒロインもいたりして、全体的に見るとあまりH度が高いとは言えないですね。
特に、サブキャラ萌えな人は注意。
あと、回想モードは全てのイベントが回想できるようになっており、その
タイトルも「メインルート01朝」とかなので、どれがHシーンかからない事が
多く、使いづらいですね。

テキストは誤字等もほとんど見あたらず、クセもあまりないテキストで読み
やすいと思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は数日〜1年。夏から始まって、長いものだと秋・冬・春と経過
して進みます。1日ずつプレイするタイプではなく、イベントのある所のみを
つまんでプレイするような感じです。1つの季節でプレイする日は5日だけと
いうこともありますし、ゲーム中でも日付は出てこないので、あまり日付を
意識する必要はないでしょう。

ワンプレイは15分〜5時間。……異常に幅がありますが(笑)、おまけ系の
エンディングは速攻で終わりますので。そういうのを除けば、2〜5時間と
いうところでしょうか。それでもかなり差はありますね。HAPPY END系でも
夏に終わったりしますので。
# おまけ系END、メッセージスキップを使うと1分で終わるものも(笑)

難易度は並。ルートの決定はそれほど難しくないと思うのですが、最後の
方で引っかけ的な選択肢が結構多く、BAD系のENDに直行しかねません。
しかも、直前でセーブということが出来ないため、かなり前からやり直しを
しなければならなかったりと、やや面倒です。
そして、エンディングの数が多く、特定の条件を満たすと出現するエンドも
数多くあるため、全てのエンディングを見るのはちょっと手間ですね。
# まあ、そういうエンディングはどうでもいいものが大半ですが(^^;
総評
お奨め度ですが、ちょっと不思議な純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
……してもいいのかなぁ(^^; あーんまり純愛という感じでもないですし、
結構キツい設定・展開・エンディングがあったりするので難しい所ですが。
そもそもこれという要素の見あたらない、インパクトに欠ける作品ですので、
非常にお奨めしづらいです(^^;

まずはシナリオの淡白さ。魅力的なキャラクターがいっぱいいますし、面白い
設定もいっぱいあるのに、それを殆ど利用しないまま淡々と話が進みます。
メインシナリオはまだいいものの、サブシナリオでは、もはやそのあたりの
設定はほったらかし。盛りあがるはずもありません。
期間も1年用意されているにも関わらず、1つの季節でプレイするのは数日
だけだったり、サブシナリオの場合は突然終わってしまったり、何のために
1年用意しているのかわかりません。私には「いろんな服装を見せたいから」
としか思えませんでした。

システム的にも、思ったようにセーブできず、システム自体もやや使いづらい
ため、繰り返しプレイが辛いです。「今、何周目?」だとか「EPISODE BUTTON」
なんかをやるぐらいなら、もう少し使いやすいシステムを考えて欲しいです。
# 「EPISODE BUTTON」をONにした時に見られるサイドストーリーはそこそこ
# 面白いものがありますが。
音声もなく、音楽もややピントのズレたものが多いなど、これといった売りが
見当たりません。
唯一CGはとても綺麗で、キャラクターも魅力的ですので、絵が目当ての人で
あれば満足は出来るかと思います。定価も若干安めですし。
ただ、その魅力的なキャラクターも、シナリオ中では活かされていないために
なかなか萌えることが出来ないのですが……。
#むしろ、不憫になってきます(^^;

最後に。ごくうEND……それだけなのか!?(爆笑)
# おまけ系ENDの方が、本編よりよっぽど面白いかも(^^;
##メテオENDさいこー(笑)


以下、ややネタバレの悲痛な叫び。

莉々子、Hなしかよ……(T_T)


ネタバレついでに、某個別シナリオ1本の全文を掲載してみます。

「大好きだっ!!」
「ひゃわわん!!」

……私でもシナリオライターになれそうな気がしてきました……(笑)
# 2行かよ!(笑)



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