Noel
ブランド名 Flying Shine ジャンル 少女漫画的戦闘耽美
アドベンチャーゲーム
発売日 2004.09.24 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x230x48mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 Disc.1 : 438.6MB、CD-DAなし、SafeDisc
Disc.2 : 407.3MB、CD-DAなし
原画 マルベル シナリオ 竹宮ゆゆこ
音声 あり、榎津まお理多金松由花児玉さとみ、大波こなみ、神崎ちひろ、
七生みこと、田原晃、立花十四朗、田原友樹、氷室省吾、樋口まゆら、畠山亮二、
三島由紀、紫苑みやび、植木了、堀内理恵、野ノ宮恋、原田友貴
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックロード1箇所 あり(3曲、OP・ED・挿入歌)
おまけ CG鑑賞、シーン回想、アニメ鑑賞、BGM鑑賞
対象属性 アクション、レズ、ピンク髪、ストレートロング、お嬢様、ショートカット、紫髪、お下げ、
オーバーニーソックス、金髪、縦ロール、ヘアバンド、ツインテール
1プレイ時間 6〜14時間 お奨め度 6

レビュー
概要
吉川ノエルは、特殊部隊・エマノンに所属し、その中でもトップの力を持ち、
「エマノンの死神」と呼ばれる工作員だった。ある日ノエルに指令がおりる。
その内容は、全寮制女子学園に潜入し、1人の少女を守ることだった。
最初は乗り気でなかったノエルだが、その少女・理理と接しているうちに、
その少女を守りたいと思うようになる。果たして理理を狙うのは何者なのか。
理理とノエルの運命は……という、少女漫画的戦闘耽美アドベンチャー。
……少女漫画的なんですか? これ(^^;
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

吉川ノエル(よしかわのえる)。(CV:榎津まお)
特殊部隊・エマノンに所属する工作員。人間離れした戦闘能力を誇り、
「エマノンの死神」と恐れられている。
無口で無感動。任務のためには冷徹に人を殺めるよう、心を殺している。

天崎理理(てんざきりり)。(CV:理多)
ノエルが学園で守る事になった女の子。明るく天真爛漫で、感情表現が
とても豊か。大食い。脳ではなく、胃袋が身体を支配している(笑)

松井雪野(まついゆきの)。(CV:金松由花)
理理の親友。ピアニスト志望で、芸術特待生として学園に在籍している。
絶望的笑い上戸。

小日向貴子(こひなたたかこ)。(CV:七生みこと)
学園の執行委員長で、学園長の姪。真面目で気品が高く、学生達からも
慕われている。学園に君臨する女王様的存在で、「クイーン」と呼ばれる。

葵(あおい)。(CV:児玉さとみ)
犯罪組織「奇跡の箱船」を率いる女首領。エマノンと対立し、ノエルや理理を
つけ狙う。

香坂詩織(こうさかしおり)。(CV:樋口まゆら)
理理のクラスメイト。ノエルに憧れ、ノエルと親しくする理理に嫉妬する。

絵の方は、可愛らしい萌え系の絵柄ではありませんが、雰囲気を醸しだし、
躍動感に溢れる絵柄ですね。やや安定性に欠ける感もありますが、それほど
気にはならないでしょう。
CGはややのっぺりとした印象の、いまひとつパッとしない感じの処理になって
います。まあ、あまり派手な色遣いをされても浮くだけだとは思いますが、もう
少し活き活きとした感じを出して欲しいところ。
# その割には、葵とか戦闘員は派手だったりしますけど(^^;
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。ポーズ変化はアニメーションで表現
されるシーンもあり、頷いたり、胸を反らしたり、手をバタバタしたり、活き活きと
しています。表情変化も、目パチ・口パクがあって、臨場感があっていいですね。
他にも、一部のイベントシーンでアニメーションが使用されています。
ただ、やたらコマ間隔が短く、一瞬でアニメーションが終わってしまうため、あまり
じっくり楽しむことが出来ないのは残念ですが。

キャラクターは無口でクールなノエルと、明るく天真爛漫な理理という、対照的な
コンビに、個性豊かなサブキャラがいっぱいです。
どのキャラクターも深い設定を抱えており、それぞれの理念で動いているため、
キャラクターが掴みやすいです。

音声はキャラクターとよくマッチしており、演技の方も問題なし。
特に理理は、感情表現が豊かで様々な面を見せるのですが、それを見事に
演じられていて、とても感情移入しやすいです。
ただ、ややキャラによって音量に差があり、小さい方に合わせるとうるさい
キャラはやかましく、大きい方に合わせると静かなキャラは聞こえないという、
もどかしい状態になります。もう少し、きっちりレベル調整をして欲しいところ
ですね。ノエルはもともとぼそぼそ喋る感じなのでまあいいとして、理理まで
小さいというのも不思議な話ですが。
# サブキャラがやたらやかましいんですよね……。

音楽は静かなゆったりした曲から、おどろおどろしい曲、勇ましい曲など幅広く
用意されており、ピアノやバイオリンを使った綺麗なメロディの曲も多く、とても
聴き応えがあります。独特の雰囲気を持った曲が多く、BGMBGMしていない
感じですね。単体でも充分聴ける曲だと思います。もちろん、シーンともよく
合っていて、雰囲気を盛り上げてくれます。

ゲームを起動するとオープニングアニメーションが流れます。
歌は独特の不思議な雰囲気の漂う曲で、オリエンタルな感じです。
絵はシーン紹介……というより、イメージムービーという感じですね。
絵は結構よく動いていて、見応えがあります。

エンディングも歌あり。歌は落ち着いた雰囲気の染み入ってくるような曲で、
ラストの雰囲気をしっとりとまとめてくれます。
ただ、絵が終わると歌が途中なのにぶっつり終わってしまうのはちょっと。

ちなみに、バッドエンドでは別の曲が使われているのですが、そちらも静かで
もの悲しい雰囲気の曲で、雰囲気はよく合っていると思います。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しています。
通常のメッセージ送りもホイールで可能で、音声のリピート再生も可能です。
ただし、ホイールの機能は、設定で「テキスト」「音声」「音楽」「バックログ」の
どれかに設定し、どれか1つしか使えません。つまり、バックログをホイールで
操作しようとすると、メッセージ送りはホイールで出来ませんので注意。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はやや重め。描画処理自体がやや重いよう
です。また、CPUパワーもかなり食っているので、非力なマシンだと辛いかも。

セーブ箇所は100箇所+クイックロード1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトルと選択肢か否かが保存されます。
数としては、選択肢が片手で数えられる程度のため、これだけあれば充分です。
まず使い切ることはないでしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
選択肢1つでシナリオが分岐し、そのままエンディングに向かうタイプです。
ただ、特定の選択肢を選んでいないと出てこない選択肢なんかもあります。

このゲームにはSafeDiscによるプロテクトが施されており、毎回起動時に
ディスクチェックが入ります。さらに、仮想CDなど特定のアプリケーションが
インストールされていると、起動出来ないこともあるようですので注意。
ディスクレス起動不可。バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「吉川ノエル」固定です。ただし、常にノエル視点で話が
進むというわけではなく、たまに視点が切り替わるため、明確に主人公という
感じではないかも知れませんが。

ところで、CG回想ですけど、まだ見ていないCGがあるのに、達成率100%と
表示されていたりするんですが(^^;
# TRUE ENDを見たら、問答無用で100%になっちゃうんですか?(^^;
シナリオ・プレイ感
ゲームは、ノエルが学園に転校してくるところから始まります。ターゲットの
理理とは寮で相部屋になり、毎日そばでガードしながら過ごす……という感じ。

ストーリーは終始重苦しい雰囲気で進みます。理理や雪野との会話は明るく
楽しい雰囲気も漂いますけど、基本的に理理を守って戦う話ですし、ノエルは
感情の起伏に乏しいため、退廃的でもの悲しい雰囲気は常について回ります。

そして、理理を守る戦いがメインで、ノエルは任務のためなら人殺しも厭わない
ため、結構エグいシーン、キツいシーンがいたるところに出てきます。
ですので、そういう残虐シーンが苦手な人は、避けた方が賢明かも。

ラストは、手放しでハッピーという感じではありませんが、一応綺麗にまとめ
られていて、すっきりとした終わり方だと思います。ただ、全て解決している
わけでなく、その後の事を考えると結構切なくなるような終わり方ですね。

特筆すべきはアクションシーン。戦闘がいたるところにあり、緊迫感たっぷりに
描かれています。また、一部のシーンではアニメーションも使用されており、
臨場感いっぱいです。

気になったのはシナリオの構成。1つ1つのシーンは、丁寧に、ボリュームも
たっぷりに描かれているのに、シーンの最後は中途半端な状態で終わって、
そのまま次のシーンに飛ぶことが多々あるため、ちょっと消化不良気味です。
時間軸やシーンが飛ぶのはいいとして、中途半端なところで切り替わると、
話が繋がらず、感情移入しづらいように思います。

H度は低め。マトモなHシーンはほとんどなく、凌辱っぽいモノやレズなど、
特異なシーンが多いです。尺は短めで、描写もあっさりめのため、今ひとつ
盛り上がりには欠けますね。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、臨場感のあるテキストだと思います。
ただ、一部表現がおかしいところや、絵との整合が取れていない所は見受け
られますが。フルフェイスのヘルメット被った状態で噛みついたりとか(^^;
# 「3分の1個」を表現するのに「3/1個」はないと思う(^^;
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。日付を意識する事はありません。

ワンプレイは6〜14時間。かなり幅がありますが、6時間で終わるのは途中で
分岐するバッドエンドですので、最後まで行くと12〜14時間ぐらいはかかる
かと思います。
ただ、ストーリーは基本的に一本道で、選択肢によっては途中でエンディングに
分岐する形になっていますので、最後までプレイすれば、あとはシーンの回収に
なって、作業という印象が強いですね。

難易度は低め。選択肢の数が片手で数えられる程度ですし、選択肢の効果は
明確ですので、悩むことはないでしょう。
総評
お奨め度ですが、ハードでシリアスなアクション物が好きな人お奨め。
甘ったるい恋愛とか、ヌルい学園ドラマなんかはなく、ひたすら重苦しく、
ヘビーなストーリーが展開されます。
ノエルや理理を取り巻く人間関係などもしっかり描かれており、無感動な
ノエルが理理と過ごすことによって徐々に変わっていくところなども丁寧に
描かれており、心情描写も秀逸です。

さらに、ノエルや理理だけでなく、敵キャラ達も様々な設定を持っており、
それなりの理由を持ってノエルと戦っていたりしますので、ストーリーに
深みが出ていて、なかなか良いですね。

ただ、シーン1つ1つがかなり細かく丁寧に描かれているため、1週のプレイ
時間はかなり長く、途中ダレがちになってしまうのが気になります。
さらに、時間軸やシーンがぽんぽん飛んだりするため、今ひとつストーリーに
のめり込みづらく、元々明確な主人公がおらず客観的に見てしまいがちな
作品のため、感情移入はし辛くなっています。
まあ、一応の主人公であるノエルは女性ですし、守るべき理理も女性ですから、
普通のゲームとは一線を画す内容になっているのは当然ですが。

そして、最後の方は怒濤の展開なのですが、冷静に考えるとかなり無茶苦茶で、
ご都合主義の雨あられ。ふつーに考えたら、あり得ないような展開です(^^;
なので、一歩引いて見てしまうと、ちょっとストーリーには入り込みづらくなって
いるように感じます。

シリアスで重苦しい雰囲気は緊迫感もあり、心情描写も丁寧でキャラクターが
活き活きしており、1つ1つのシーンも丁寧に描かれており、とても読み応えの
あるシナリオになっていると思います。
惨殺シーンとかに嫌悪感がなく、重苦しい雰囲気が気にならない、むしろ好き
という人にはお奨め出来る作品です。
途中、何箇所か感動的なシーンもありましたし、ラストシーンもじーんとする
ことが出来ましたし、ツボにハマれば楽しめると思います。
よくある恋愛物とは全く違う、独特の雰囲気を持った作品です。

最後に。吉川裕樹役の声優さん、田原友樹さんか原田友貴さんかどっち?
# パッケージとスタッフロールで記述が違うんですが……。
##事務所のサイトによれば「原田友貴」さんが正解のようですけど。


以下、ネタバレなつぶやき。

ラスト、ノエルなんで生きてんだよ。お前は不死身か(^^;
まあ、薬もないでしょうし、遠くない未来に死ぬんでしょうけど……。
それと、理理が生きている限り、また同じことの繰り返しになるのでは?
そういう意味では何も解決していない、この先のことを思うとかなり重い
気持ちになれる終わり方ですね。全然ハッピーエンドじゃない……。
まあ、ホントに全て解決しようと思ったら、理理が死ぬしかないと思います
ので、どっちみちハッピーエンドにはならないんでしょうけど……。



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