偽りの教室
ブランド名 DarkSide ジャンル アドベンチャー
発売日 2005.11.11 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(164x230x38mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 207.4MB、CD-DAなし
DATA DISC : 644.9MB、CD-DAなし
原画 村上真 シナリオ 永沢壱朗春日晶
秋まさき、なかぢ
音楽 17曲、ミリオンバンブー なし
音声 女性のみフルボイス、風華、野神奈々、金松由花、幸代彩里、北都南
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 36箇所 CG枚数 70枚
おまけ 画像閲覧、シーン回想、音楽モード
対象属性 ミステリー、サスペンス、陵辱、学園物、幼馴染み、ボブカット、ご主人様、放尿、
赤髪、ポニーテール、眼鏡っ娘、お下げ、金髪、先輩、眼帯、ショートカット、後輩、
しましま、オーバーニーソックス
1プレイ時間 7〜8時間 お奨め度 6

レビュー
概要
父親が海外勤務となり1人日本に残った主人公は、従妹で幼なじみである悠里の
家でやっかいになることになった。学校も悠里と同じで、クラスも同じになった
主人公だが、悠里から2人の関係は秘密にして欲しいとお願いされる。理由が
わからず、とりあえず承諾する主人公。そして学園に通い始める主人公だが、
そこで悠里がいじめられていることを知る。なんとかいじめをやめさせようと、
首謀者を呼び出して悠里と話し合いをさせようとする主人公。しかしそこで
事故が起こり、結果、いじめの首謀者は死亡してしまう。罪の意識を背負いつつ
なんとか事件を隠しながら生きていく2人。果たして2人の運命は……という、
ダーク系アドベンチャー。

ミステリータッチの作品なので、何処まで書いていいのかかなり悩みましたが、
パッケージに書いてあるところまでは判っているものとして書いちゃいます。
極度にネタバレを嫌う方はご注意下さい。
……まあ、このあらすじだけでもかなり語っちゃってるわけですが(^^;
# メーカのサイトと、パッケージで、情報の深さが違いすぎ……。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

中村悠里(なかむらゆうり)。(CV:風華)
主人公の従妹で幼なじみでクラスメイト。クラスの女子全員からいじめを
受けており、ただただ耐える陰鬱な毎日を送っている。

君塚久美子(きみづかくみこ)。(CV:幸代彩里)
主人公の幼なじみでクラスメイト。明るく快活な女の子。おしゃべり。
悠里のいじめには関わらないようにしている。

金子ふみえ(かねこふみえ)。(CV:北都南)
主人公のクラスメイトで、悠里いじめの中心的人物。ミステリー同好会の
会長で、推理が好き。思い込みが激しく、こうと決めたら徹底的に行動する。

矢島しのぶ(やじましのぶ)。(CV:野神奈々)
主人公のクラスメイトで、悠里いじめの首謀者。しかし実際には、ふみえが
率先して行動を起こしている。明るく人当たりのいい女の子。

杉本晶(すぎもとあきら)。(CV:金松由花)
悠里の後輩で、動物の飼育係。人見知りが激しく、物静かな女の子。
しかし、感情の起伏は激しい。

佐藤ミカ(さとうみか)。(CV:野神奈々)
しのぶが死んだ後、主人公の暮らすに転校してきた女の子。
しのぶそっくりの容貌をしており、性格も明るく人なつっこい。
イジメが嫌いで、公然と悠里の味方になろうとする。
同ブランドから2002年3月15日に発売された「秘密」に出てくるキャラ。

絵の方は独特のアンニュイな雰囲気漂う色気のある絵柄。くたびれたような
雰囲気や、キレた激しい表情などが見事です。
CGはややべったりとした重い塗りになっていて、どんよりした雰囲気を醸し
出しています。
立ち絵はポーズ変化はなし、表情変化はあり。パターンはあまり多くない
ですが、変化が大きく、解りやすいです。

キャラクターはくらーいキャラと明るいキャラがはっきり分かれていますが、
作品の雰囲気自体が重苦しいため、明るいキャラもあまり突き抜けた印象は
ありません。

音声はキャラクターとのマッチングもよく、演技の方も良好です。
特に、キレた時の演技はみなさん非常に雰囲気を出して演じられているため、
緊迫感があって引き込まれるような感じです。
また、淫語は伏せ字・ピー音等は無しです

音楽は静かで緊迫感のある曲が多め。おどろおどろしい雰囲気がよく出ていると
思います。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はなし。絵の方はストーリー紹介からキャラクター紹介、そしてシーン紹介と、
作品の雰囲気を上手く醸し出しつつ説明してくれます。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声は自動的に再生され
ます。通常のメッセージ送りもホイールで可能です。
前の選択肢に戻る、次の選択肢に進む機能も搭載されています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は軽快。スキップ動作も高速です。

セーブ箇所は36箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシーンタイトルが保存されます。
数としては、選択肢の数はそれほど多くないものの、構造がちょっと複雑に
なっているため、もうちょっとあってもいいかもですね。
まあ、MAPを見ながら進めれば、大丈夫だとは思いますが。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。条件を満たすと新たな選択肢や
イベントが発生する。シナリオ追加型のシステムになっています。
その際、別キャラ視点からのイベントも増えます。
特徴としては、MAPで現在のルートなどを確認することが出来ること。
これによって、シナリオの分岐と通っていないルートが一目瞭然です。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は可変です。ほとんど名前で呼ばれることはないため、特に
問題ないかと思います。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が従妹の悠里の家にやってくるところから始まります。
そして悠里から学園では2人の関係は秘密にしようと言われ、学園に通って
悠里がいじめられていることを知り、なんとかしようとして、とんでもない
事故が起こってしまう……という感じ。

ストーリーは、終始どんよりと重苦しい雰囲気で進みます。
ゲームが始まった最初の状態からして、悠里がいじめられており、さらに人が
1人死ぬという、もはやどん底の状態から始まるわけで、明るく楽しい展開など
あるハズもなく。極限状態の中、緊迫した状態でストーリーが進んでいきます。

しのぶが死んでからも、悠里に対するいじめが続いたり、悠里に対して疑いの
目を持つ人が出てきたり、悠里が壊れかけたり、キレたり、全く別の事件が
起こったりと、もうこれでもかと言わんばかりの鬱でダークでキレた展開が
続きます。明るく楽しい展開は全くありません。

ラストも重い終わり方がほとんど。ハッピーエンドらしいエンドは全くあり
ません。まあ、こんな最低の状態から始まって、手放しでハッピーな終わり
方が出来るはずもないですけど。

特筆すべき点は心情描写。特に、悠里の怯えや怒りなどの描写は鬼気迫る
ものがあり、見ていてドキドキしました。
そして、「いじめ」に対する各キャラの気持ちも良く描かれていたと思い
ます。条件を満たせば1つのイベントを別キャラの視点で見ることが出来、
その時その人がどう考えていたのかがわかるようになっています。
いじめが行われていて、それを止めることが出来なくて後悔したり、最初
プレイしたときには解らない事が解ってなかなかいいですね。
それが解るだけに、「そこでどうして行動しないんだ」ともどかしい思いを
することも多々ありましたけど。
「いじめに直接参加していなくても見ているだけで止めなかったら同罪」と
いうことが強烈に訴えかけられているような作品でした。

気になったのは整合性。逢ったことのある人のことを「どんな人?」と聞い
たり、「顔も見たくない」と言いはなったにも関わらず次の日には仲良く
会話していたりと、ちょっと気になりました。
イベントの分岐が結構複雑な作品ではあるのですが、もう少し丁寧に作って
欲しいところです。

H度はやや高め。ほとんどのヒロインは複数回用意されています。
尺の方は結構長めです。ただ、Hの内容が、嫌なことを忘れるためのHだったり
おしおきのためのHだったりと、いわゆる普通のHがほとんどないため、あまり
Hさは感じず、痛々しさの方が前面に押し出されているような感じです。
純愛らぶらぶなシーンは殆どなく、主人公もたまにキレてサディスティックに
なったりと、アブノーマルなシーンがかなり多いです。
Hシーンからして、ドロドロ鬱々としたくらーいシーンが多く、雰囲気が統一
されています。
あと、かなりきっついシーンもありますし、1シーンだけですが寝取られ要素も
ありますので、苦手な人は回避推奨。特に、寝取られ要素はいらなかったような
気がするんですけどねぇ……。作品自体救いがないんですから、せめてそこ
ぐらいは救いが欲しかったです(T_T)

テキストはやや誤字多め。意味が分からないほどの誤字はあまりないですが、
一部笑ってしまうような誤字もあって、ちょっと醒めちゃうかも。
あと、音声とテキストが食い違っていることもたまにありました。
# 「どうせのん気にトイレでも行って」が「どうせようきにトイレでも行って」
# と読まれていたのですが……「暢気」を「陽気」と読んだんですね……(^^;
##あと、フレンチキスは軽くないのでわ(^^;

テキストの雰囲気は、パッケージのあらすじを見ていただければだいたい
掴めると思います。禁則とか日本語無茶苦茶な気がします(^^;
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。基本的に1日ずつプレイしていきますが、日付の経過は
意識する必要はありませんし、途中何日か飛んだりすることもありますし。

ワンプレイは7〜8時間。やや長めで、雰囲気も鬱々としているため、さらに
長めに感じました。ただ、共通パートが結構多く、1度クリアすればスキップを
使うことでかなり短縮は出来ますけど。

難易度はやや高め。選択肢の数はそれほど多くないのですが、エンディングが
そこそこ多く、分岐もやや解りづらい上、条件を満たすと新たなイベントが
発生したりと、なかなか思ったようには進めにくいです。
まあ、MAPを見ればどこで分岐するのかはだいたい解りますので、後は条件を
探して虱潰しにプレイするしかないでしょう。
総評
お奨め度ですが、ダークでドロドロしたサスペンスタッチの作品が好きな人に
オススメ。ひたすら暗く沈み込んだ展開で、いろんな人の思惑や陰謀が渦巻く
ミステリーでサスペンスタッチの作品で、読んでいてドキドキハラハラする
緊迫感溢れるストーリーが楽しめます。

特に、人間の黒い部分の描写が凄く、鬼気迫るものがあります。
このゲームをプレイしていると、なんだか人が信じられなくなりそうです(^^;
そのぐらい、人間の裏側の部分が生々しく描かれていて凄まじいです。
その描写のキツさのため、キャラクターに感情移入は出来ない……というか、
感情移入するのが怖いです(^^;
# 人間不信増長ゲーム?(^^;

ただ、ちょっと整合性が甘かったり誤字が多くて、折角のめり込んでいる
ところを現実に引き戻されたり、最初のプレイで結構情報が出されるため、
2周目以降の面白みにやや欠け、作業になりがちなのは残念。

Hシーンもバリエーションは多いですが、マトモなHシーンはほとんどなく、
なかなか純粋には楽しみづらいですね。

全体的に見ると、やや粗い部分も見受けられますが、人間の描写やダークな
展開、これでもかと追いつめるようなシナリオは非常に読み応えがあると
思いますので、ダークな作品が好きな人は是非どうぞ。
救いのない暗い作品ですので、そういうのが苦手な人は注意。
ハッピーエンド至上主義の人には絶対向きません(^^;

あと、この作品は同ブランドの作品「秘密」の続編的な扱いになっている
ようで、登場人物の1人・佐藤ミカは前作から引き続き登場しており、たまに
前作の話が出てきますけど、まあ知らなくても特に問題ないかと思います。
もちろん、知っていればより楽しめるかとは思いますけど。

最後に。マウスカーソルが包丁なのはシュールすぎです(^^;


この作品、パッケージの絵とかで、結構なネタばらしになっている気が(^^;
まあ、プレイしていれば自然と気付くとは思いますけど……。
それに、「秘密」をプレイしていたら、ミカの黒さは重々承知なわけで(笑)

で、結局晶の眼帯の下はどうなってたのでしょうか。最後まで説明されて
いないような気が……。すげぇ気になる(^^;



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