盗んでMy Heart
ブランド名 LOVERSOUL ジャンル ピカレスク恋愛ADV
発売日 2005.04.28 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(165x230x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 1.61GB(DVD-ROM)
オリジナルサウンドトラック : CD-DA=619.9MB、CD-DA30トラック
原画 戌角柾
たぽ、桜二等兵
シナリオ 山本豪志夏葉薫
音楽 34曲、川崎流、朝霧奏kutsuka あり(5曲、OP・ED・挿入歌)、榊原ゆい
佳織みちる、長月碧、ちよ
音声 あり、瑞希早苗、一色ヒカル、楠鈴音、草柳順子、金田まひる、
児玉さとみ茶谷やすら、韮井叶、伊藤瞳子、谷俊介、本多啓吾、とろ美
事務台車、神奈川拳、富士山一番、ルーシー、胸肩腎、松濤エルサ
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 90箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 86枚
おまけ GALLERY、REPLAY、SOUND
対象属性 怪盗、ドタバタ、コメディ、純愛、陵辱、赤髪、ストレートロング、オーバーニーソックス、
体操服、ブルマ、婦警さん、ショートカット、黒髪、眼鏡っ娘、幼馴染み、金髪、お下げ、
メイド服、エプロンドレス、ストッキング、ガーターベルト、ピンク髪、ボブカット、緑髪、
白衣、お兄ちゃん、ツインテール、お嬢様、ポニーテール
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 4

レビュー
概要
主人公は、藤ノ宮兎々子とともに怪盗・バニーザテイカーとして、華麗な活躍を
行っていた。警察や警備会社を煙に巻き、新聞も騒がせていた。しかし、そんな
主人公達の前に謎の敵が立ちはだかる。果たして主人公達は、狙った獲物を
無事手にすることが出来るのか……という、ピカレスク恋愛AVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

藤ノ宮兎々子(ふじのみやととこ)。(CV:瑞希早苗)
主人公が居候している家の娘で、怪盗・バニーザテイカー。
我が儘で勝ち気だが、案外素直な面もある、明るく元気な女の子。

潮招柚槻(しおまねきゆづき)。(CV:伊藤瞳子)
バニーザテイカー逮捕に執念を燃やす警部補。エリートコースを歩んでいたが、
バニーザテイカーのおかげで失敗続き。さらに彼氏なし、いいとこなしの26歳。
不幸街道まっしぐら。

不慟目黒(ふどうめぐろ)。(CV:一色ヒカル)
主人公の幼馴染み。警備会社を運営しており、バニーザテイカーとも対立する。
無口で感情表現に乏しいが、主人公とは通じ合う。しっかりもので優等生。

ニナ・ヤール・ギュレシ。(CV:楠鈴音)
兎々子の家のメイドで、バニーザテイカーのトレーナー。おっとりのほほんと
した女性だが、トレーニングの際は性格が変わり、鬼と化す。

不慟目白(ふどうめじろ)。(CV:茶谷やすら)
目黒の妹。身体が弱く、家に籠もっていることが多い。
主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び慕う。純粋無垢な女の子。

江寺尊(えでらみこと)。(CV:草柳順子)
主人公の同級生。天才的な頭脳の持ち主だが、おっとりぼんやり天然娘。
さ行の発音が出来ず、「しゃししゅしぇしょ」になる。通称「ステラ」。

江寺文戸(えでらあやこ)。(CV:児玉さとみ)
尊の母親。明るく元気一杯のお姉さん。平然と嘘を教えたり、変なあだ名を
付けるのが趣味。

紀伊国屋こねこ(きのくにやこねこ)。(CV:金田まひる)
主人公の学校に転校してきた後輩。やたらテンションが高い女の子。
主人公達にやたら突っかかってくる。

木阿弥くろよ(もくあみくろよ)。(CV:韮井叶)
こねこの保護者。世話好きで、こねこの面倒を見たり家の掃除をしたりする。

絵の方はとても可愛らしく、ほのぼのとした和める絵柄。ただ、ややシーンに
よってばらつきが見受けられるように思えます。
CGは明るい色遣いの見やすい処理になっていますが、絵によってバラつきが
やや大きく、輪郭線がやたら目立つような絵も見受けられます。
立ち絵はポーズ変化、表情変化共にあり。会話に合わせてコロコロと切り替わり、
パターンも非常に豊富に用意されていて、アクションも大きく、コミカルなものも
用意されていて、見ていて非常に楽しく、感情移入しやすいです。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。こねこや尊は、もうやり過ぎと言うぐらい
個性的です。
目白LOVE〜。純粋で健気で可愛らしいのですよー。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も良好です。
兎々子の声は、口上の時なんかはもう少し張りがあってもいいかなーとは思い
ましたが。
あと、一部、イントネーションがおかしかったり、読み方がおかしかったりする
ところが見受けられて、ちょっと気になりました。
また、キャラクターによって録音レベルがまちまちで、個別に音量調節も出来
ないため、ちょっと困ります。

音楽はほのぼのコミカルな曲が多め。他にも、様々な曲調のものが数多く用意
されており、シーンに良くあった曲が使われていて、作品を盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はノリの良い、ちょっと可愛らしさも漂う曲。爽やかな歌声はとても聴き心地が
良いのですが、今ひとつスピード感が無く、なんだか微妙(^^;
絵の方は、キャラクター紹介・シーン紹介的なものですが、結構良く動いていたり、
演出も凝っていて、見応えは充分かと思います。

エンディングも歌あり。通常のエンディングだけでなく、バッドエンドにも別の曲が
用意されています。バッドエンドの曲は、なかなか面白い歌ですね。好みは分かれ
そうですけど。

気になったのは、オープニング・エンディングがスキップできないこと。
最初から始めると、毎回オープニングをフルで聴かなければいけないため、
ちょっと鬱陶しいかも。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定などは
キーボードで可能ですが、各種メニュー操作はキーボードで出来ないようです。
というか、セーブ/ロード画面やSYSTEM画面をキーボード操作しようとすると、
エラーが発生して、スクリプトエディタが開くんですけど(^^;
ご丁寧に、吉里吉里Controlまで出てくる親切設計。これは、自分でデバッグを
しろ、ということでしょうか?
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しています。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。クリックをしてから、次のテキストが出てくるのが若干遅く、
ややいらいらするかも。スキップ動作もやや遅めです。

セーブ箇所は90箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付と時間帯、シーンタイトルが
保存されます。
数としては、シナリオの分岐はほぼ明確なため、それほどセーブ/ロードも
必要とは思えませんし、これだけあれば充分でしょう。

システムは移動場所選択+選択肢決定型のアドベンチャー。
移動場所選択は、カーソルを合わせるとそこに誰がいるのか表示されるため、
迷うこともないでしょう。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「織部鈴之丸(おりべすずのまる)」固定です。

このゲーム、FLASHが使われているんですね(^^;
SAVE/LOAD画面で右クリックしたら、なんだかステキなメニューが……。
FLASHのメニューぐらい、消しておきましょうよ……
# それ以前に、吉里吉里のControl Windowが出るのはどうかと思いますが(^^;
シナリオ・プレイ感
ゲームは、主人公達がバニーザテイカーとなって、活躍するところから始まり
ます。学園生活を送りつつ、土曜日には怪盗として仕事をするうち、ライバルが
登場して……という感じ。

前半は明るくコミカルに進みます。個性豊かなヒロイン達との掛け合いはとても
面白く、ドタバタな日常が描かれます。

後半は、各ヒロインとバニーザテイカーとの関係を中心としたストーリーが展開
されます。ただ、後半はやたら駆け足で、あっけなく終わる印象があります。

ラストも唐突で、ご都合主義な印象が強く、今ひとつ乗り切れませんでした。

特徴としては、プレイヤーに対しての語りかけや説明といったネタを中心に、
ギャグやパロディが多用されていること。特に、プレイヤーに対する語りは、
かなり好き嫌いが分かれるところだと思います。
ちょっと外してるかなーと思うところや、寒く感じる部分が多かったように
感じました。

そして、最大の問題は、舞台背景や設定の説明がほとんどないまま、いきなり
ゲームの世界に放り出されること。
主人公が兎々子の家に居候している理由や、バニーザテイカーになった訳、
変身能力を持っていることなども全然描かれないまま、いきなり怪盗として
活動することになるため、置いてけぼりにされた印象が強いです。
また、目黒の家庭の事情や、尊が天才な事やステラと呼ばれていることなど、
細かい設定がほとんど説明もなく当たり前のように出てくるため、ついていく
のがやっとでした。そのため、とても感情移入はし辛かったです。
マニュアルやメーカのサイトにはこのあたりのことが書かれているのですが、
作中では語られていないのはちょっとねぇ。
プレイする前に、マニュアルは熟読しておけということでしょうか。

H度は並。各ヒロインとも複数回(2〜4回)用意されています。尺の方はシーンに
よってやや差があり、あっさり終わるものもあれば、2回戦に突入するものもあり。
まあ、総じてそれほどたっぷりとは用意されていません。描写もあっさりめです。
内容は、基本的に純愛系のものが多いですが、シチュエーションは様々ですし、
一部陵辱系のシーンも用意されています。まあ、それほど強烈な描写はりあま
せんので、苦手な人でもなんとか許容できるかと。
逆に、陵辱に期待している人には物足りないでしょうけど。

テキストは、ちらほらと誤字・脱字が見受けられます。禁則には気を遣っている
のが伺えるのですが、単語の途中で改行することがあったり、読点が少なくやや
読みづらい印象があります。
# 「生地」の「生」と「地」の間で改行されると、まず「なま」と読んでしまうので、
# その後のテンポが悪くなります……。
また、テンションが高くノリが独特なため、ちょっと人を選ぶテキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは10月11日から始まります。
ゲーム期間は約3週間。中盤までは1日ずつプレイしていきますが、後半は何日か
飛んだりします。

ワンプレイは5〜6時間。テキスト表示にやや時間がかかるためテンポが悪く、
ちょっと長く感じました。共通部分は結構ありますので、2周目以降はスキップを
使えば半分以下にはなるかと思います。

難易度は低め。基本的に狙ったキャラクターと逢い続けていればOKです。
ただ、1つだけ見つけにくいエンディングがあり、コンプリートするためには
BAD ENDも見ないといけないうえ、全キャラクリアしたあとにEXTRAも見ないと
いけませんので、ちょっと手間かもです。
総評
お奨め度ですが、コミカル怪盗物が好きな人にお奨め。
全体的にコミカルでドタバタな雰囲気が漂っており、何も考えず気軽に楽しめると
思いますし、怪盗物ということでアクションシーンなんかもあり、雰囲気は良く出て
いると思います。

ただ、背景や設定の説明がほとんどないまま話が進んだり、いきなり話が急展開
したりと、ついていくのか大変で、感情移入は非常にし辛かったです。
また、後半はかなり駆け足で、ラストは取って付けたような終わり方が多く、
今ひとつ印象に残りませんでした。

さらに、システム的にもやや貧弱で、特定の操作でエラーが発生するなど、
やや雑な部分も見え、あまり印象は良くないです。音声も録音レベルがバラバラで
統一感がありませんでしたし、CGもばらつきが大きく、非常に綺麗な絵もあれば、
稚拙に見える絵もあるなど、全体的にややまとまりのなさが目につく作品でした。

立ち絵のパターンが非常に多かったり、ムービーがとても凝っていたり、歌も
BAD ENDにまで用意されていたりと、かなり意欲的な部分も見受けられますので、
もう少しきっちり作り込まれていれば、もっと高い評価も出来たんじゃないかなーと
思えるだけに残念です。ちょっとやる気が空回りしている印象が強かったです。
次回作に期待、というところでしょうか。

最後に。「三月晴学園」なのか、「弥生晴学園」なのか、どっちですか(^^;
読みは「やよいばれがくえん」のようですが、「三月晴」の方が記述としては
多いのですねー。
# 「バニーザテイカー」と「バニー・ザ・テイカー」も、どっちかに統一して欲しい
# ところです。



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