お嬢様組曲
ブランド名 Symphony ジャンル ドキドキまふまふお嬢様恋愛AVG
発売日 2005.04.22 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(165x230x39mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GameDisc1 : 685.6MB、CD-DAなし、Alpha-ROM
GameDisc2 : 687.4MB、CD-DAなし
オリジナルまふまふサウンドトラック : CD-DA=276.0MB、CD-DA16トラック
ちゃぼディスク : 135.7MB
原画 立見ねおん、えつる、
酒月ほまれ猫野おせろ
シナリオ 烏龍ぱんだ、彩藤神楽、麗
音楽 17曲、卵掛御飯 あり(1曲、主題歌)、KAKO
音声 あり、佐本二厘、計名さや香内野ぽち、谷中麻衣、春日咲、成瀬未亜
吉川華生柏倉れん
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所 CG枚数 97枚
おまけ Image Gallery、Scene Replay、Music Hall
対象属性 お嬢様、学園物、純愛、感動、ピンク髪、帽子、リボン、オーバーニーソックス、
ウェディングドレス、緑髪、ストレートロング、金髪、ツインテール、お兄ちゃん、
スクール水着、ボブカット、触角、黒髪、しましま、ドリル(笑)
1プレイ時間 4〜5時間 お奨め度 7

レビュー
概要
受験に合格した主人公は、入学式に向かった。しかし、その学園では主人公の
合格の事実はなく、訴えも虚しく追い出されてしまう。仕方なく帰る主人公は、
道端で泣いている女の子に出会う。その子は今日が入学式だが、足を怪我して
歩けず、入学式に間に合わないという。主人公はその女の子を抱えて学園まで
連れて行った。その学園は、主人公が入るはずだった学園の隣の女学園だった。
なんとか入学式に間に合った主人公は、女の子を置いて帰ろうとしたが、その時
主人公の名前が呼ばれるのだった。ひょんなことからお嬢様を育てる女学園に
通うことになった主人公。果たして主人公の学園生活はどうなってしまうのか
……という、ドキドキまふまふお嬢様恋愛AVG。……まふまふって何だ?(^^;
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

藤澤姫名子(ふじさわひなこ)。(CV:佐本二厘)
入学式の日、主人公が助けた女の子。誰とでも親しく接する、明るく優しい
女の子。いつか王子様と出会うことを夢見ている。

岩本綾瀬(いわもとあやせ)。(CV:成瀬未亜)
白百合寮の管理人。主人公の担任教師でもあり、保健の先生でもあり、食堂
でも働いている、とんでもなくマルチな女性。おっとりのほほんマイペースな
女性で、優しく暖かい雰囲気を持つ。主人公に色々と便宜をはかってくれる。

上原睦子(うえはらむつこ)。(CV:吉川華生)
主人公や姫名子のクラスメイト。情報の入手・流布をステータスにしている、
歩くワイドショー。言動はとてもお嬢様とは言い難く、主人公ともフランクに話す。

一ノ瀬舞鈴(いちのせまりん)。(CV:成瀬未亜)
主人公のクラスメイトで、ニワトリ(チャボ?)を追い回している女の子。
子供っぽい外見の通り、無邪気で純粋。寂しがり屋で甘えん坊。
学園のアイドル的存在で、みんなから可愛がられている。
主人公のことは「お兄ちゃん」と呼び慕う。

白河沙絵(しらかわさえ)。(CV:谷中麻衣)
主人公のクラスメイトだが、飛び級しているため1つ年下。素直で元気な女の子。
香津美と姉妹のように育ち、憧れと共にコンプレックスを抱いている。

有栖摩香津美(ありすまかつみ)。(CV:内野ぽち)
大会社の社長令嬢で、学園内でトップクラスの人気を誇るお嬢様。主人公の
1つ年上の先輩。わがままで高飛車、頑固と、見た目の優雅な雰囲気とはかけ
離れた性格をしている。しかし、恋愛面には弱い一面も。
沙絵を妹のように可愛がっている。

望月司(もちづきつかさ)。(CV:計名さや香)
大会社の社長令嬢。おっとりのんびりのマイペース天然娘。学園内での人気は
非常に高いが、そのことも全然気にしていない。主人公の2つ上の先輩だが、
口調は丁寧で敬語で話してくる。

西九条小雪(にしくじょうこゆき)。(CV:春日咲)
主人公のクラスメイトだが、病弱でほとんど授業には出てこない。
クールで無口だが、発する言葉は結構辛辣。ちょっぴり頑固な一面もある。

南裕理(みなみゆり)。(CV:柏倉れん)
主人公の2つ上の先輩。明るくさっぱりとした性格のボーイッシュなお嬢様。
スポーツ万能。気さくであっけらかんとしており、人をからかうのが好き。

絵の方はとても可愛らしい絵柄。原画家さんが3人(メインキャラは2人?)参加
しており、絵柄には結構差がありますが、上級生担当と下級生っぽい同級生
担当という感じに分かれており、それほど違和感はありませんでした。
とても活き活きとした絵で動きもあり、見ていて楽しくていいですね。
CGは明るく発色の良い処理になっており、とても見栄えがいいです。丁寧に
処理されていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。会話の内容に合わせてコロコロと
切り替わり、アクションも大きく解りやすいので、とても感情移入し易いです。
見ていて楽しくていいですね。
あと、アイキャッチ等各所でデフォルメキャラが使用されるのですが、こちらも
可愛らしくてとても良いです。

キャラクターは大人っぽく落ち着いた雰囲気の上級生と、元気で可愛らしい
同級生という感じ。みんなとても活き活きとしており、どのキャラクターも非常に
可愛らしいです。
ただ、お嬢様お嬢様したキャラクターは上級生ぐらいで、同級生はあんまり
お嬢様っぽくなかったりしますので、お嬢様に期待しすぎると物足りないかも。
1人に絞るのは難しいですが、強いて言うなら綾瀬さん萌え。←そこかよ

音声はキャラクターとのマッチングもよく、演技の方も問題なし。
香津美の高飛車なところとか、舞鈴の元気なところなんかも、とても上手く
表現されていると思います。また、舞鈴と綾瀬さんは同じ声優さんが担当して
おられるのですが、全然気付かないぐらい、上手く演じ分けられていて感心
しました。
ただ、睦子が怒鳴ったりするとき、やたらだみ声になるのは、ちょっとやり過ぎ
という気がしないでもないですが。
あと、気になったのは、一部音声のないところがあること。女の子同士の会話で、
片方は音声があるのにもう片方が音声がない、というシーンもあって、ちょっと
違和感を覚えました。会話の途中で音声がなくなることもありますし。
また、全体的に録音レベルはかなり低めになっているようで、通常よりちょっと
音量を上げる必要がありました。

音楽はコミカルでほのぼのとした雰囲気の曲が多め。明るく楽しい曲が多いの
ですが、しっとりとした曲もきっちり用意されており、シーンに良く合った曲が
使われ、作品を盛り上げてくれます。単体で聴いても充分楽しめるぐらいの
クオリティがあり、とてもクリアで綺麗な音楽はなかなかいいですね。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌は清涼感溢れるクリアな歌で、とても聴き心地がよいです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。それほど目を引くところが
あるわけではないですが、絵はとても綺麗でいい雰囲気だと思います。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールに対応しています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は100箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはゲーム内日付とシーン画像、メッセージの一部が保存されます。
セーブ日時は保存されないようです。
数としては、選択肢の数は少なめですし、分岐もそれほど複雑ではないため、
これだけあれば充分でしょう。使い切ることはないかと。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
フラグ型になっているようで、最終的に誰寄りの選択をしたかにより、その後の
展開が決まるようです。

この作品はAlpha-ROMによるプロテクトが施されており、毎回起動時にディスク
チェックが入ります。そのため、ディスクレス起動は不可。
バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「立川薫」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がひょんなことから峰桜女学園に入学するところから始まります。
女学園ということで周りはみんな女性、しかもお嬢様を育成する学校ということで
お嬢様率も高い、そんな学園に唯一の男子生徒として入学した主人公が、
いろんなトラブルに巻き込まれていくというドタバタ劇が展開されます。

前半は明るく楽しいコミカルな展開。個性豊かなキャラクター達との会話はとても
楽しく、みんな活き活きとしていて楽しいです。ほのぼのとした雰囲気で進み、
学園生活を楽しんでいる感じが良く出ていると思います。

後半は各ヒロインの抱えた問題を解決する、ちょっと重いシリアスな展開。
ちょっとキツい展開もあり、暗くなったりすることもありますが、最後は綺麗に
まとめられており、プレイ後の気持ちはとても爽快だと思います。

エンディングは綺麗にすっきり終わっており、プレイ後はとても爽やかです。
ラストシーンで、いきなり何年も飛んだりするので、ちょっと面食らうことも
ありましたが。

気になったのは、前半と後半のギャップ。前半は明るく楽しく、後半は重く
シリアスというのもあるのですが、前半は1日ずつ丁寧に描写されているにも
関わらず、後半はイベントのあるところだけをとびとびでプレイしていくような
感じになるため、展開の速度からして全然違う印象があります。
前半はまったりほのぼのという感じですが、後半は性急なジェットコースター
ストーリーという感じで、いきなり切り替わるため、ちょっと面食らいました。
また、後半がとびとびになるのはいいのですが、その繋ぎが弱く、その間に
気持ちの変化があってもほとんど描写されないため、ちょっとついていくのが
大変なことも。もう少し丁寧に描いて欲しかったなー、と思いました。

特筆すべきは演出。立ち絵の演出もそうですが、シナリオの伏線の張り方とか、
話の持って行き方も含めた、全体的な演出がとても良かったように思います。
流れが自然で、感情移入もし易かったです。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されており、尺はそれなりに確保されて
います。描写は比較的あっさりめです。
内容は純愛的なものばかりで、あまりシーンのバリエーションは多くないです。
ただ、Hシーンのシチュエーションは様々で、Hシーンまでの導入がとても良く、
自然にシーンに入っていけるような感じです。
それもあって、Hさよりも、ストーリーの一貫としてのHシーンという印象が強く、
感情の動きや可愛らしさを前面に押し出した内容になっていると思います。

テキストはかなり問題点が多いです。まず、誤字脱字はかなり多め。
さらに、『」』が行頭に来ていたり、『」』自体がなかったりすることも。
また、メッセージウインドウ内にメッセージが表示し切れていなかったり、
「姫名子さん」という呼び方と「姫名子」とう呼び方が混在していたり、
今まで「おにいちゃん」と読んでいたのに突然「薫」になったりとか。
# まあ、これはそういうイベントがあるのですが、それを見なくても変わる
# ため、突然変わった印象があります。
他にも、「薫様」とテキストには出ているのに音声は「先輩」だったりとか、
テキストと音声が食い違っているところもちらほらと見受けられます。
音声がテキストと1つズレて再生されたりすることまであったり。
プレイ時間・難易度
ゲームは4月11日の月曜日から始まります。
ゲーム期間はキャラによってまちまち。1年のシナリオもあれば、数年経って
いるシナリオもあります。
ただし、前半こそ1日ずつプレイする形ですが、後半はイベントのあるところ
だけをプレイする形ですし、ラストシーンで突然何年も経過していることがあり
ますので、期間にはあまり意味はないかと。

ワンプレイは4〜5時間。前半はかなり長く感じるのですが、後半が駆け足に
なるので、全体としてはやや短めな印象がありました。
前半はほぼ共通パートになっているため、2周目以降はメッセージスキップを
使えば短縮は出来るのですが、共通パートではほとんどイベントの起こらない
キャラもいるため、あまり短縮した気分にはなりません(^^;

難易度は並。基本的に狙ったキャラ寄りの選択を続けていればいいのですが、
選択を1つ間違えるだけで出てこないキャラがいたり、全然関連する選択肢が
出てこないキャラもいますので、狙ったキャラを出すのはやや手間取るかも。
特に上級生なんかは、ほとんど関係する選択肢が出てきませんしね。
総評
お奨め度ですが、まったりほのぼのしたコミカルな学園物が好きな人にお奨め。
後半はちょっとキツい展開もあったりはしますけど、最後はすっきり終わって
くれますし、安心してプレイすることは出来るかと思います。
キャラクターがみんなとても活き活きとしていて魅力的で可愛らしく、萌える
展開もふんだんに用意されていて、素直に楽しめる作品だと思います。

演出も凝っていて、「組曲」を冠しているためか音楽もクオリティが高く、
キャラクター毎に幅広い展開が用意されていて、飽きることなく最後まで
プレイできるかと思います。
やや後半の展開が性急な印象もありますが、メリハリが効いていてプレイは
し易いでしょう。

唯一にして最大の欠点はテキスト周り。誤字や禁則違反を初めとして、音声
とのズレや呼称の不統一など、丁寧さが感じられないのが残念です。
しっかりテストプレイをやっていれば、気付くものが多いと思いますし、比較的
簡単に修正可能なものが多いと思うのですが……。
あと、一部音声がない場所があり、それが会話の途中に突然出てきたりするの
ですが、どうも収録が終わったあとにシナリオを加筆修正したように感じられ、
ちょっと違和感を覚えました。

まあ、それを差し引いても、とても楽しく雰囲気も良く、キャラクターも魅力的で
とても楽しめる作品だと思います。
お奨め度は7としていますが、これはテキスト絡みの問題のためにやや厳しく
付けていますので、内容的にはお奨め度8を付けてもいいぐらいだと思います。
テキスト周りの問題が気にならない人は+1してもいいでしょう。
……まあ、メッセージウインドウ内にテキストが表示し切れていないのを、気に
ならない人はあんまりいないと思いますけど(^^;
ただ、修正ファイルで直るものが多いと思いますので、修正ファイルを適用
したあとでプレイすれば、もう少し印象も良くなるかも知れません。

最後に。「姫名子さん……、初めてあったのはこの坂だったっけ……。もう、
半年以上も前の話になる」……いや、まだ5ヶ月です(^^;


舞鈴シナリオ、挿入歌のタイミングが最高でした。これはちょっとやられました。
挿入歌からエンディングへの切り替えは唐突でしたけど(^^; いきなり静かになるし。
他にも、駅前でみんなが迎えてくれるシーンは感動しましたし、シナリオとしては
一番好きかも。



ロビーに戻る  レビュートップに戻る