きると -QUILT-
ブランド名 CLOVER ジャンル アドベンチャーゲーム
発売日 2005.12.19 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(210x297x45mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 1.34GB(DVD-ROM)
原画 CARNELIANすぎやま現象西脇ゆぅり
天宮ぽらん、木菟あうる
シナリオ 片桐由摩、西貝言羽、
オズケイイチロウ
音楽 20曲、KIM's SOUNDROOM
上松範康(Elements Garden)
あり(1曲、OP&ED)、KAKO
音声 あり、赤白杏奈、岬友美、岩田由貴、三咲里奈、ありす、まきいづみ
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所+
クイックリターン1箇所+
クイックマップセーブ1箇所+
オートセーブ1箇所
CG枚数 113枚
おまけ CG MODE、SCENE MODE、BGM MODE、ITEM COLLECTION
対象属性 純愛、ファンタジー、ボブカット、ヘアバンド、浴衣、黒髪、ストレートロング、赤髪、
ツインテール、ツンデレ、ストッキング、ガーターベルト、お兄ちゃん、帽子、お下げ、
ウェディングドレス、金髪、眼鏡っ娘、ショートカット、ボクっ娘
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 7

レビュー
概要
デザイナー兼仕立屋の主人公は、デザインコンテストのためにリプル島にやって
きた。そのコンテストは、島にいる人からモデルを1人選び、その人に似合う服を
作るというものだった。主人公は無事モデルを選び、コンテストと恋の両方を
手にすることが出来るのか……という、服飾シミュレーション+アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

キリエ。(CV:三咲里奈)
コンテストに参加するデザイナー。お淑やかで落ち着いた雰囲気の女の子。
真面目でしっかりものの優等生。しかし、お茶目で意地悪な一面も見せる。

エナ。(CV:岬友美)
主人公がコンテストの間下宿するアパート、ヴィラ・ブルーレースの管理人。
優しく穏やかで包み込むような雰囲気の女性。面倒見が良く、下宿している
人たちの相談にも乗っている。靴屋と管理人を兼業している。家事が得意。

アイリ。(CV:赤白杏奈)
アパートに同居しているコンテスト参加者のデザイナー。リプル島出身。
負けず嫌いの意地っぱり。だが、案外素直な一面も。人と付き合うのが苦手で、
ちょっと距離を置いてしまう。主人公に対しては言いたい放題でキツく当たる。

カナミ。(CV:ありす)
主人公が修行していた仕立屋の娘。モデルになるためリプル島にやってきて
コンテストに参加する。明るく元気で純粋な女の子。主人公のことが大好きで、
「お兄ちゃん」と呼び慕う。

ミズキ。(CV:岩田由貴)
リプル島で生まれ育った天真爛漫な少女。自然が大好きな野生児で、オシャレ
などとは無縁。ただ、モデルの人たちを見て羨ましく思っている。

シア。(CV:まきいづみ)
海辺で出逢った不思議な少女。無口で無感情。神出鬼没。

コリン。
アイテム合成担当の女性。職人パワーでアイテムを合成する(笑)
お茶目で楽しいおねーさん。

絵の方は繊細で線の細い綺麗な絵。すっきりと整っていて、とても魅力的です。
原画家さんが複数いますが、絵柄にそれほど大きな差はなく、特に違和感を
感じることもありませんでした。
CGは綺麗で丁寧。原画の雰囲気を上手く活かし、とても魅力的に仕上げてある
と思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。ポーズ変化はシーン中ではほとんど
ありませんが、表情変化は豊富で、会話に合わせてコロコロ変わり、感情移入
しやすいと思います。

キャラクターは落ち着いた雰囲気の、それでいて個性豊かな面々揃い。
みんなそれぞれに目的や過去を持っていて、それがシナリオにも活かされて
いる感じです。

音声はキャラクターとのマッチングもほぼ良く、演技の方も問題なし。
キリエやアイリは、最初はちょっと定まってないなーと感じました。
まあ、元々変化の激しいキャラですから、ある程度仕方ないのかもですが。

音楽はケルティックな雰囲気の漂う曲が揃えられています。独特の雰囲気を
醸し出し、作品の雰囲気を作り上げてくれます。

ゲームを開始すると、めちゃめちゃ短いプロローグの後にオープニングアニメー
ションが流れます。
歌はケルティックな雰囲気の幻想的な曲で、なかなかいい雰囲気ですね。歌声は
とても真っ直ぐな澄んだ歌で、聴き心地が良かったです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。ちょっと絵が粗くなっている
部分があって、勿体ないですね。特に、元々の絵が繊細なため、余計に気になる
気がします。また、一部平面の絵を無理矢理奥行きを持たせて立体的に見せよう
としている部分があって、見ていてちょっと気持ち悪かったです(^^;

エンディングも歌あり。歌はオープニングと同じものですが、フルコーラスが
使用されています。独特の雰囲気と爽やかな感じが、ラストの雰囲気ととても
良く合っていると思います。
また、絵がキャラ毎に違っていて、スタッフロールも微妙に違いますね。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作は高速です。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所+クイックリターン1箇所+クイック
マップセーブ1箇所+オートセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付とシーンタイトルが保存されます。
数としては、選択肢はあまり捻ったものはなく、基本的にオンリープレイが
必要な作品のため、これだけあれば充分かと。

システムはマップ移動場所選択+選択肢決定型のアドベンチャー+服飾SLG。
マップにはどこに誰がいるのかが表示され、アイテム合成のヒントが得られる
ところにも★マークが付きますので、空振りすることはないかと。
また、何もマークがないところでも、アイテムを拾うことが出来ます。
服飾はマップ移動や選択肢決定でアイテムを手に入れ、それを合成すること
によって新たなアイテムを作っていき、そのレベルを上げていきます。
そのレベルによって、コンテストの結果が決まってきます。
また、特定の条件を満たすと、新たなルートが出てくるシナリオ追加型の
システムになっているようです。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「フジカワタクミ」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がリプル島にやってくるところから始まります。
コンテストのためにモデルを探しながら、アイテムを合成してコンテスト用の
ドレスを作っていきます。

前半はモデルを探しながら女の子と親睦を深めていくパート。
明るく楽しい雰囲気が漂っていますが、そーんなにはしゃいだ感じではなく、
どちらかというと落ち着いたまったりした雰囲気が漂っている感じです。
まあ、ちょっとコミカルな展開も用意されていますけど。
# 「済みませんが俺ホモなんで男の服しか作らないんです」(笑)

後半は、ヒロインの抱えた問題と向き合い、ヒロイン達の本当の姿を見つけて
いくという、ちょっと切なく甘酸っぱい、純愛ストーリーになります。

ラストはすっきり綺麗に終わり、プレイ後の気持ちはとても爽快です。
ちょっとすんなり終わり杉菜印象もありますけど、まあ許容範囲かと。

特筆すべきはキャラクターの衣装。服飾をメインに扱っているだけあって、
衣装の種類が豊富で、立ち絵でも様々な衣装が楽しめます。

気になったのは、アドベンチャーパートとアイテム合成パートの関係。
2つのパートは基本的に独立で、アイテムを全然合成していなくてもアドベン
チャーパートではどんどん服ができていったり、その逆もあったりと、
あまりアイデアを練って服を作っているという感じがしないのが残念。
# というか、街を歩いてアイテムが手にはいるって不思議(^^;

また、前半のアドベンチャーパートでは、どういう順番で誰と合うかで、
若干整合性に気になる点が出てきました。まあ、基本的にオンリープレイが
必要になりますので、普通にプレイしていればあまり気にならないかも知れ
ませんが……。

あと、1つのシナリオが、他のシナリオのネタバレになっていることがある
のもちょっと気になりました。
特に気になったのがアイリシナリオとキリエシナリオ。アイリシナリオを先に
プレイしちゃうと、キリエシナリオでドキドキ感がほとんどありません。
アイリシナリオは後回しにするのが吉かも。

そして、一番気になったのはアイテム合成パート。マップ移動などで手に入る
アイテムを合成して新たなアイテムを作り、最終的にコンテストに必要な
アイテムを作っていくのですが……これがひどくかったるいです。
まあ、最初のプレイではまだ楽しめるかも知れませんが、2周目以降は完全に
作業になってしまって、足枷でしかないような気がします。
ランダム要素などはなく、同じように行動・合成していれば、毎回同じ物を
作ることが出来ますし。

H度は並。ほとんどのヒロインは複数回あり。尺の方はややばらつきはある
もののそこそこで、描写もそこそこ。2回戦も用意されている場合があります。
ただ、2回戦に入ったところで終わることがかなり多く、肩すかしな印象が
かなり強いです。どうせならきっちり2回戦も描いて欲しかったです。
「もう一度挿入した」で終わってしまうのは生殺しですヨ。
内容的には純愛系のラブラブHがほとんど。内容的にはあまりバリエーションは
ないのですが、ラブラブ萌え萌えな雰囲気が良く出ていて、それなりにH度も
あるため、結構満足できました。2回戦に入ってぶち切られるのだけが残念。

テキストは誤字等はあまり気にならず、テンポのいいテキストだと思います。
ただ、当て字、漢字が多用されていて、ちょっと読みにくい印象がありました。
「さっき」を「先刻」と書いたり、「みつめる」を「凝視る」と書いたり、
「からかわれる」を「揶揄かわれる」と書いたり、なかなかすんなりとは
読めなくて、また文章も硬い印象になってしまっているような気がします。
プレイ時間・難易度
ゲームは7月1日(土)から始まります。
ゲーム期間は約3週間。2週間後にコンテストの予選、3週間後に本戦があると
いう感じです。基本的に1日ずつ進めていくタイプです。

ワンプレイは5〜6時間。長さとしては並だと思うのですが、共通部分がかなり
少なく、スキップを使っても各シナリオでそれぞれ4〜5時間ぐらいかかるため、
トータルのプレイ時間はかなりかかると思います。

難易度はやや高め。アドベンチャーパートに関しては、基本的に狙ったキャラと
会い続けていればいいので、それほど苦労はしないかと思います。
一部、他のキャラのイベントに出てくるキャラもがいて、そういうキャラはやや
手間取るかも知れませんが、それほど条件はシビアではないようですし。
問題は、アイテム合成パート。まず、アイテムを合成するためには、マップ移動
などでベースとなるアイテムを手に入れる必要があり、これが足りないとそも
そもアイテムを合成することが出来ません。ヒロインを追いかけつつ、必要な
アイテムを手に入れる必要があります。また、アイテムを合成するための組み
合わせはかなり多く、街でヒントは手に入れられますが、コンテストに必要な
アイテムを合成するのはかなり手間です。まあ、一度解ってしまえば、以後は
同じ手順で作成可能なので問題ないとは思いますが。
総評
お奨め度は、ちょっと不思議な雰囲気の純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
徐々にヒロインに惹かれていって、気持ちを確かめ合い、問題を乗り越えて
結ばれていく様がよく描かれており、そこにコンテストも上手く絡んできて、
目的に向かって真っ直ぐに向かっていく、気持ちのいい展開が楽しめます。
ラストはややご都合主義であっさりしすぎな印象もありますが、すっきりと
綺麗に終わっていて、プレイ後の気持ちも爽やかで清々しいです。

ちょっぴりほろっとする展開や、萌える展開も用意されていて、ヒロインに
感情移入もしやすくて、甘酸っぱいストーリーが楽しめます。
各ヒロインはそれぞれに何か問題や過去を抱えており、それがストーリーに
上手く活かされていて、みんな活き活きとしていて魅力的です。
アイリシナリオなんて、展開読め読めなんですけど、それでも萌えましたし。
# ちょっとシナリオによって内容に差があるのは気になるところですけど。

そんな感じでシナリオはなかなかいいのですが……アイテム合成が、ね(^^;
コンテストの雰囲気を出したかったんでしょうけど、まず、街を徘徊したら
アイテムが手に入るというのが不自然すぎ。さらに、それを合成して新しい
アイテムを手に入れるってのも無理がある気が。しかも、それを毎回きっちり
クリアしなければならないため、かなり作業色が強いです。
いや、まあ、実際作業なんでしょうけど(^^;
これによって、せっかくのストーリーに没頭しづらく、テンポも悪くなるなど、
足枷でしかないシステムのように感じました。

でもまあ、それを差し引いてもちょっと切なく甘酸っぱい、純愛ストーリーは
とても楽しいですし、キャラクターも魅力的で、萌えも感動もあって、
すっきり爽やかにプレイできるのはとてもいい感じです。
独特の雰囲気や世界観がしっかりとあって、ストーリーもそれに合わせて
きっちり作られており、充分楽しめるかと思います。

最後に。コリンエンドきぼー。てゆーか、一番いいキャラでしょ(笑)


ファビアン、てっきり誰かを寝取るために出てきたかと思ったのに(笑)、
結構いいヤツでびっくり。キャラ的にはコリンの次に好きかも。

このゲーム中、一番のツンデレキャラは、カハラ・リュウゴかもしれない(笑)
エンディングの主人公とのやりとり、おもろすぎ。
「これは決してお前を心配してるんじゃないんだからねっ」(笑)



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