かみさまの宿っ!
ブランド名 white cyc ジャンル 死んだらひとつ屋根の下ADV
発売日 2006.04.07 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(155x224x51mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 Disk1 : 630.3MB、CD-DAなし
Disk2 : 307.5MB、CD-DAなし
オリジナルサウンドトラック : CD-DA=463.0MB、CD-DA17トラック
原画 金たロウ シナリオ でぇすて神代いづみ
天崎カケル和泉万夜
音楽 18曲、JHON-NAHM(drops-fone)、
あるるかん
あり(2曲、OP・ED)、yuiko、maki
音声 あり、まりもりん、みすみ、咲良さく、みる、森藍子、北都南、平野響子、海原エレナ、
鉄滝次、柴田蕗、梅小路ピンポン、丈隆志、夏乃はちみつ、西野みく、マジック
インタフェース メッセージ送りのみキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 120箇所 CG枚数 101枚
おまけ CG鑑賞モード、シーン鑑賞モード、音楽鑑賞モード
対象属性 純愛、ラブコメ、ドタバタ、ストレートロング、オーバーニーソックス、緑髪、関西弁、
ショートカット、金髪、ツインテール、リボン、赤髪、ストッキング、浴衣、銀髪、アホ毛、
ふたなり、触手、裸エプロン、ご主人様、ハーレム
1プレイ時間 5〜7時間 お奨め度 6

レビュー
概要
あの世とこの世の狭間にある宿屋を運営している主人公。その宿屋は、未練を
残して成仏できない魂が、成仏できるまで一時的に暮らす宿だった。今日も
さまよえる魂達が楽しい毎日を過ごしていく。果たして主人公は、魂達を無事
成仏させることが出来るのか……という、死んだらひとつ屋根の下ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

藤宮若菜(ふじみやわかな)。(CV:北都南)
宿の女将。いつも笑顔でおっとりマイペース。
宿の仕事に生き甲斐を感じている。いや、死んでますけど。

倉橋愛美(くらはしいつみ)。(CV:まりもりん)
病弱で、ずっと病院で暮らしていてそのまま死んでしまった娘。
明るく素直な女の子。及第点娘(笑)

夏樹薫(なつきかおる)。(CV:みすみ)
宿に泊まっている客。さっぱりとした男っぽい性格の女性。
関西弁ですが、大阪ではなくて、神戸・播磨っぽい感じですね。

高原翔子(たかはらしょうこ)。(CV:みる)
宿に泊まっている客。明るく元気一杯のお子様。背が小さいことに
コンプレックスを持っており、子供扱いされると怒る。

長谷川朱美(はせがわあけみ)。(CV:咲良さく)
宿にやってきた女性。大人っぽく、お色気たっぷりの女性。勘が鋭く、
相談にも乗ってくれるお姉さん。

神薙ほとり(かんなぎほとり)。(CV:森藍子)
宿にやってきた天然娘。感情の起伏に乏しく、いつもぼーっとしている。
言葉少なくマイペースで、会話のほとんどを「おう」という返事だけですませる。
自分の名前をたまに思い出す(笑)
# 「神様……この娘、難易度高いです……」(笑)

死神(しにがみ)。(CV:海原エレナ)
現世の魂をあの世に運ぶ仕事をしている女性。無口でクール。
一見厳しいが、実は優しい一面も持っている。

絵の方は黒目が大きく個性的な絵柄ですね。結構肉感があり色気を感じます。
CGはやや派手な色遣いが気になりますが、そこそこ丁寧に処理されていると
思います。
立ち絵はポーズ変化なし、表情変化はあり。表情は会話に合わせてころころ
変わるため、感情移入はし易いです。やや地味ですけど。

キャラクターは色々な方向性の個性を持ったキャラが揃っており、設定も様々で
幅広い展開が楽しめます。
ほとり最強(笑)

音声はややキャラクターから浮いているように感じることが多かったです。
決してヘタではないのですが、どうにもしっくり来ないというか。
あと、音がちょっとこもったような感じになっているのが勿体ないですね

音楽はほのぼのとした曲が多め。作品の雰囲気を柔らかく包んでくれます。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌はアップテンポでノリのいい、ちょっと可愛らしい感じの歌。ややパンチには
欠けますが、楽しい感じでいいですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点は特になし。

エンディングも歌あり。歌はゆったりとした落ち着いた曲で、優しく暖かい、
包み込むような雰囲気の曲ですね。エンディングの雰囲気をしっとりと包んで
くれます。余韻の残る、なかなかいい歌だと思います。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、自動メッセージ送り搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。ただ、絵の切り替えや演出で若干引っかかります。
スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は120箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像が保存されます。
数としては、分岐は比較的解りやすいですし、これだけあれば足りるかと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。時間制限付きの選択肢があり、
結構制限時間が短いので注意が必要です。
主人公はやる気ゲージを持っており、やる気を使用することによって奇跡を
起こし、様々なことが可能になります。
また、1度クリアするとイージーモードが使えるようになります。このモードを
使用すると、やる気の初期値が50になり、1日の終わりに10回復します。
条件を満たすとシナリオが増える、シナリオ追加型のシステムになっています。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「神様」固定です。……いや、名前じゃないけど……(^^;
「宿屋」だの「宿助」だの「ご主人様」だのと呼ばれます。
シナリオ・プレイ感
ゲームは宿に愛美がやってくるところから始まります。成仏できない魂達と
一緒に暮らしつつ、未練を振り切れるように色々なコミュニケーションを
とっていく……という感じです。

前半はドタバタな毎日が描かれます。主人公は非常に女好きで、隙があれば
セクハラをしようと試みます。
また、宿の周りには悪霊がうろついており、たまに宿に侵入してくるため、
それを撃退して住人を守る必要があります。
戦闘はしもべである「甘味トリオ」と協力して行うことになります。
悪霊を逃してしまうと、宿にいる誰かが取り憑かれてしまいます。

後半は宿の誰かと気持ちを通わせ合う、純愛ストーリーになります。
未練が何なのかを探したり、今後の生き方(?)を考えたりと、ややシリアスな
展開を織り交ぜつつ進みます。

ラストは切ない展開あり、おバカな展開ありと様々です。まあ、総じて
すっきり綺麗に終わっているとは思います。

特徴は設定の出し方。最低限の説明はされるのですが、宿がなんなのかとか、
各ヒロインの未練などは、最初は全然語られず、ゲームを進めていくと徐々に
解るようになっています。特に、主人公に関する情報はかなり小出しにされ、
最後までクリアして初めて全て繋がる、という感じですね。
このあたりの持って行き方はなかなか面白かったです。

また、元々舞台がこの世とあの世の狭間の世界で、キャラクターはみんな
死んでいるわけで、その先にあるのは「成仏」なんですよね。
それを念頭に置きつつも毎日を過ごしたり恋愛をするのは、どこか切なさが
漂っており、独特の雰囲気を持った作品なっていると思います。

逆に気になったのは、後半の展開がかなり駆け足なこと。前半が比較的まったり
しているため、いきなりの急展開にちょっと面食らいました。

また、結構テンションの高いキャラが多く、ギャグやパロディも満載なのですが、
ちょっと空回りしているように感じることも多かったです。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されています。尺の方はやや短めで、
描写はシーンによってまちまちですが、比較的あっさりめ。
主人公との絡みはほぼ純愛系のシーンばかりですが、悪霊に取り憑かれた
時のシーンは結構いろんなバリエーションが用意されています。
バリエーションは豊かなのですが、盛り上がりきる前に終わってしまうような
シーンが多く、ちょっと消化不良かも。

テキストはちらほら誤字は見受けられますが、それほど致命的なものはないと
思いますし、テンポは良く、そこそこ読みやすいテキストだと思います。
ただ、前述の通り、ややテンション高い部分があるため、ちょっと人を選ぶ
かもしれません。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。1ヶ月ぐらいでしょうか。一応1日ずつ進めていくタイプなの
ですが、何日目とかは出てこず、気にする必要はありません。
# 某日記に日付が出てきますが、でたらめですし(笑)

ワンプレイは5〜7時間。共通部分がそこそこ多いため、2周目以降はスキップを
使うとそれなりに短縮できます。

難易度はやや高め。ヒロインの攻略については狙ったキャラ寄りの選択をして
いればいいのですが、どの選択肢が誰に対応しているのかは選択肢を見ただけ
ではわからないものが多く、またやる気ゲージが残っていないと発生しない
イベントもあるため、結構気を遣います。
また、悪霊との戦闘は甘味トリオのうち誰を戦わせるのかを選ぶのですが、
慣れないと誰を戦わせればいいのか解りづらく、セーブ/ロードを繰り返す
必要があるかも知れません。
また、時間制限のある選択肢が結構あって、のんびりプレイしていると上手く
選べないので、ちょっと辛いです。ハンディマウスでプレイしていると、そんな
パパッと選択肢は選べないのですよ……(T_T)
ただ、1度クリアしたら使えるようになる「イージーモード」を使用すれば、
このあたりの問題はほとんど解消されますけど。
総評
お奨め度ですが、明るく楽しくドタバタで、でもちょっと切ないストーリーが
好きな人にお奨め。
この世とあの世の間という特異な設定と、各キャラが持っている設定を上手く
利用した、なかなか面白い展開を楽しめます。

キャラクターによってシナリオの方向性は全く違っており、情報が小出しに
されるため、飽きることなく最後までプレイできるかと思います。

ただ、ややテンション高めでちょっと人を選びそうだったり、後半の展開が
やや性急であっけなかったり、全体的にやや盛り上がりに欠けて、印象が
薄かったりと、気になる点もちらほら見受けられます。

設定や展開はなかなか面白いのですが、どうにも突き抜けたところがなく、
こぢんまりとまとまった、すっごく普通の作品という印象が強いです。
折角特異で面白い設定を持っているわけですから、そのあたりをもう少し
活かして盛り上げて欲しかったなー、と思いました。
そのあたりを利用するはずの後半が、あっけなく終わってしまうからこう
感じたんじゃないかなー、と思うんですけど。
もう少し各ヒロインの「未練」について掘り下げてみるとかすれば、印象も
違ったんじゃないかなーと思います。

最後に。あめゆはちょっとやりすぎフゥーーー。
# なぜにHG?(^^;


ゲームを一度クリアしてから、プロローグが流れるのは斬新かも。
先が気になる、面白い構成ですね。



ロビーに戻る  レビュートップに戻る