夏色公園〜電波塔の下で愛を語る〜
ブランド名 Juliette ジャンル ドラマチック大通公園AVG
発売日 2006.07.21 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x231x42mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 1.80GB(DVD-ROM)
オリジナルサウンドトラック : CD-DA=537.2MB、CD-DA23トラック
原画 ひぐちのりえ シナリオ MYU、りりあん嬢、千歳、
彩音(やまたエンターテイメント)
音楽 23曲、Funczion SOUNDS、BB あり(1曲、OP)、Marica
音声 あり、理多、松田理沙、榎津まお、北都南、まきいづみ一色ヒカル、事務台車、
如月葵、町田あみ、このかなみ、城崎彦太
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 99箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 110枚
おまけ CG MODE(CG鑑賞)、BGM MODE(音楽鑑賞)、EVENT MODE(シーン回想)
対象属性 純愛、ショートカット、アホ毛、ゴスロリ、ツインテール、エプロンドレス、ウェイトレス、
天然娘、未亡人、ピンク髪、ボブカット、お嬢様、黒髪、ストレートロング、ストッキング、
ガーターベルト、ツンデレ
1プレイ時間 6〜7時間 お奨め度 7

レビュー
概要
勤めていた会社が倒産し、新しい仕事も見つからず、住んでいたところも
追い出され、途方に暮れていた主人公は、ふらふらと大通公園にたどり着く。
そこで、公園の主と言い張る少女・エンプティーと出会い、そのまま公園で
暮らすことになる。公園には様々な人がやってきて、そんな人達と出会って
いく中で、主人公は生きる意味や愛について考えていく。果たして主人公は
どんな未来を掴むのか……という、ドラマチック大通公園AVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

エンプティー。(CV:理多)
公園の主。主人公を小間使いとして面倒を見る。子供っぽい外見だがみょーに
落ち着いていて物知り。人をからかうのが好き。
# 「……襲うなよ?」(笑)

篠崎京華(しのざききょうか)。(CV:北都南)
通称・アリス。綺麗なものが大好きで、自分も綺麗になるため日々努力する。
デジタル一眼レフを常に持ち歩いており、綺麗なものをみると撮影してその
綺麗な瞬間を永遠のものとする。カメラ小娘。無口で無表情。口が悪い。

叶野琴音(かのうことね)。(CV:まきいづみ)
通称・レィディ。鳩と会話をする不思議な女性。のんびりふんわりとした
雰囲気の天然娘。激しく優柔不断。

及川小夜子(おいかわさよこ)。(CV:松田理沙)
通称・オフィーリア。長いのでリアと呼ばれる。劇団に所属しており、公園の
石舞台に練習をしに来ている。声が小さくて演技も下手。控えめで大人しく
周りの人にいつも気を遣っている。世間知らずのお嬢様。

柏原美帆(かしわらみほ)。(CV:一色ヒカル)
通称・みっちゃん。水商売をやっている女性。源氏名はみちる。
落ち着いた雰囲気の大人の女性で、人の扱いが上手い。頼れるお姉さん。

牧本くるみ(まきもとくるみ)。(CV:町田あみ)
公園の近くのコンビニでバイトしている女の子。エンプティーに対して恩が
あり、崇拝するようにかいがいしく尽くす。明るく元気で屈託のない女の子。
喜怒哀楽がハッキリしている。

春日まひる(かすがまひる)。(CV:榎津まお)
通称・ネコ。家庭の問題でプチ家出中の女の子。気が強くて頑固で悪ぶって
いるが、世間知らずで不器用。感情を素直に伝えるのが下手。

春日ゆうな(かすがゆうな)。(CV:如月葵)
まひるの妹。頭も良く、親にもかわいがられている。まひるに対してライバル
意識を持っている。小悪魔。

楠木加奈子(くすのきかなこ)。(CV:このかなみ)
みちるのお店の先輩で、お姉さん的存在。お色気たっぷりのお姉さん。

絵の方はほんわかした雰囲気の可愛らしい絵柄。ポーズや表情によって若干
バランスが悪く思える絵もありますが、逆にハッとさせられるぐらい綺麗な絵も
あったりと、なかなか侮れません。
CGは綺麗に処理されており、原画の雰囲気をよく活かしていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。パターンはそれほど多くないものの、
アクションが大きく、コミカルな表情などもあって、見ていて楽しいです。

キャラクターは個性豊か……というか、アクの強いキャラクター揃い。
基本的に人の話を聞かない、唯我独尊タイプのキャラが多いです(笑)

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も問題なし。
エンプティーのいたずらっぽい雰囲気や、リアの演技が上達していくところ
なんかもとてもよく出ていて良かったです。

音楽はほのぼのとした明るい雰囲気の曲が多め。ピアノなどを使用した綺麗な
曲が多いです。ただ、どうもシーンと合っていないというか、浮いている曲が多い
ような気がしました。曲の自己主張が強すぎるのでしょうか。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌は落ち着いた雰囲気のややポップな曲で、とても聴きやすい、いわゆる
イージーリスニングですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点は特になし。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600。
動作は比較的軽快。スキップ動作も高速です。
ただ、メッセージウインドウが白で文字も白なのはちょっと見づらいです。

セーブ箇所は99箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像が保存されます。
数としては、分岐は比較的わかりやすく、選択肢もそれほど多くないので、
これだけあれば充分かと思います。

システムはマップ移動場所選択+選択肢決定型のアドベンチャー。
マップはどこに誰がいるのか表示されており、誰に会いに行くのかを選択する
タイプですので、迷うことはないでしょう。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は可変です。呼びかけ部分は無音になったり「あなた」になったり
「こいつ」になったり「きみ」になったりと、場面によって使い分けられます。
……が、やっぱちょっと違和感が(^^;
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が路頭に迷い、公園にやってくるところから始まります。
エンプティーと出会い、彼女と一緒に公園で暮らすことになり、いろんな人と
出会っていく……というお話。

前半は明るく楽しいコミカルな展開。それほど派手さはありませんが、地味に
面白いという感じでしょうか。落ち着いた雰囲気の中にも面白さがあるような
感じです。まあ、くるみはやかましいんですけど(^^;

後半は各ヒロインの抱えている問題を解決しつつ、主人公も生きることの意味や
愛について気付いていくという展開。こちらも落ち着いた雰囲気が漂っており、
ややメリハリには欠けるものの、じんわりと染み入ってくるようなシナリオです。

ラストはすっきり綺麗に締めてくれますので、プレイ後の気分も爽快です。
一部、あんまり解決になっていない気がするエンディングもありますがご愛敬。
また、バッドエンドはちょっと切ない雰囲気が漂います。

特徴としては、公園で生活する人達の支えあいがよく描かれていること。
エンプティーを中心として、公園に来る人達はみんな仲良く、個別シナリオに
入っても他のキャラクターもしっかりお話に絡んできたりと、人間関係がとても
よく描かれています。それによって、とても温かさを感じられるシナリオに
なっていると思います。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されており、尺の方はそこそこ長め。
描写は比較的あっさりめです。
内容としては純愛系のラブラブHがほとんどですが、舞台が公園のため、
屋外でのシーンが結構多いです。

テキストは、誤字はほとんど気にならず、落ち着いた雰囲気の、読みやすい
テキストだと思います。ただ、一部日本語が微妙なところが見受けられました。
「順応力が早い」は、日本語としてどうかと(^^;
「撫ぜた」も間違いではないですが、訛り入ってますよね。
「男の言葉は今はシャットダウンしてるんだ」……シャットアウトでわ?(^^;
「ちゃんこそば」? 確かにそういうメニューもあるにはありますが、そのシーン
では「わんこそば」の方が妥当かと……。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。日付の描写はないため、気にする必要はありません。

ワンプレイは6〜7時間。まったりとした雰囲気のため、やや長く感じられ
ますが、プレイはし易いかと思います。

難易度は低め。基本的に狙ったキャラクターと会い続けていればOKです。
ただし、最後の方の選択肢を間違えると、バッドエンドに入るので注意。
それと、一部クリア順制御がかかっているキャラクターがいるようです。
総評
お奨め度ですが、落ち着いた雰囲気の人間ドラマが好きな人にお奨め。
各ヒロインとも「夢」や「願望」を持っていて、それに向かって努力する
というお話が多く、また周りの人達もそれを支えたり見守ったりという、
温かいストーリーが楽しめます。
そして、主人公もそんな中で生きる意味を見つけたり、やる気を出したり、
ヒロインと一緒に成長していくような感じです。

キャラクターは特徴的で、どのキャラクターもしっかりとした何かを持って
いるため感情移入はしやすいですし、ヒロイン視点のモノローグが入るなど
心情描写は丁寧にされていますし、キャラクター同士の繋がりもしっかり
していて、自然な流れでストーリーを楽しめると思います。

これといった欠点は見あたらないのですが、逆に飛び抜けたところもなく、
ややメリハリに欠ける、まったりした作品になっています。
これを「落ち着いた雰囲気」と取るか、「盛り上がりがない」と取るかは
人によって違ってくるかとは思いますけど。
個人的にはこういったほのぼのした温かい作品は大好きです。

こういった雰囲気の作品が肌に合いそうな方は是非。
まったりした雰囲気の苦手な方は、お奨め度から-1しておいて下さい。
ちょっと採点は甘めになっていますので。

最後に。主人公、素直に実家帰れよ……。←禁句(^^;



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