アメサラサ〜雨と、不思議な君に、恋をする〜
ブランド名 CUFFS ジャンル ADV
発売日 2007.04.27 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(230x163x38mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 836.0MB(DVD-ROM)
主題歌マキシシングル : CD-DA=76.9MB、CD-DA2トラック
原画 カントク兼清みわ シナリオ 市川環風間ぼなんざ
音楽 17曲、ANZE HIJIRI、
kurosu katsuhiko
あり(2曲、OP・ED)、Duca
音声 あり、安玖深音、本山美奈、北都南、草柳順子まきいづみ、竹内幸輔、竹田彬太、
小次郎、藤森ゆき奈香澄りょう
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 50箇所+クイックセーブ5箇所 CG枚数 93枚
おまけ APPRECIATION
対象属性 純愛、学園物、幼馴染み、ボブカット、スパッツ、黒髪、ストレートロング、眼鏡っ娘、
ストッキング、ショートカット、先輩、後輩
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 5

レビュー
概要
ごく平凡な学園生活を送っていた主人公だが、実はある悩みがあった。それは、
極端な雨男体質で、感情が昂ぶったりすると雨が降ってしまうこと。おかげで
運動部には入れず、無気力な放課後を過ごしていた。しかしある日、主人公の
クラスに1人の転校生がやってくる。彼女を見てどこか懐かしさを感じる主人公。
そして物語は動き出す……という、純愛アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

久美浜光羽(くみはまみつは)。(CV:北都南)
主人公の幼なじみ。フィールドホッケー部所属。いつも明るく元気いっぱいで、
誰からも好かれる性格。主人公のことは「ハルイチ」と呼び、からかったり
好き放題言ってきたりするが、どこか憎めない。

千代川霖(ちよかわりん)。(CV:安玖深音)
主人公のクラスにやってきた転校生。誰とでもすぐにうち解ける。ちょっと
子供っぽくて素直な女の子。

藤森花香(ふじのもりはなか)。(CV:草柳順子)
図書委員で、いつも図書室にいる女の子。ちょっと人見知りで、特に男性とは
うち解けにくい。真面目で優しい女の子。

円町霧(えんまちきり)。(CV:まきいづみ)
しばらく休学していたが、このたび復学してきた先輩。文芸部に所属。
無口で無表情だが、存在感はある。霖と知り合いらしい。

三本木倖(さんぼんぎゆき)。(CV:本山美奈)
主人公の後輩にあたる女の子。無口で存在感が薄く、神出鬼没な女の子。
控えめで大人しい。

絵の方はほんわかとした柔らかいタッチの可愛らしい絵柄。見ていて和める
ような感じで、とてもいいですね(^^)
CGはやや淡い色遣いで、原画の雰囲気がとてもよく活かされていると思います。
立ち絵はポーズ変化はなし、表情変化はあり。ただし、パターンは少なく、
会話の内容と表情が食い違っていることも多々。セリフは怒ってるのに、絵は
笑顔なんてザラです。ちょっと感情移入はしづらいですね。
他にも、ホームルームの時間のハズなのに、絵では廊下にいっぱい人がいたり、
どうにも絵とテキストのマッチングが良くないように思えます。

キャラクターは明るく元気なキャラと、控えめなキャラにはっきり分かれます。
突き抜けたキャラクターはおらず、落ち着いた雰囲気ですね。
……まあ、三本木先輩はかり突き抜けたキャラクターではありますが。それは
もうウザいぐらいに(^^;

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も問題なし。
出会った直後と仲良くなってからの態度の違いなどもよく表現されていて、
とても自然に受け止められます。

音楽はピアノを主体とした落ち着いた曲が多く、作品の雰囲気を優しく包み
込んでくれるような感じです。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
タイトルメニューで放置しても流れますが。
歌はややゆったりしつつも軽快で聴きやすい曲。歌声は結構力があって、印象に
残ります。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点は特になし。

エンディングも歌あり。ゆったりとして落ち着いた、それでいて力強い歌で、
心に染み入ってくるような感じです。余韻をじっくり味わえる、なかなかいい
歌だと思います。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。スキップ動作はそこそこ高速。
メッセージを瞬間表示に出来ないのはちょっと辛いかも。

セーブ箇所は50箇所+クイックセーブ5箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とメッセージの一部が保存されます。
数としては、それほど選択肢も多くなく、これだけあれば充分でしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「大久保晴市(おおくぼはるいち)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公のクラスに霖が転校してくるところから始まります。霖たちと
毎日を過ごしているうちに、部活や恋愛に対する意欲が出てきて、学園生活を
謳歌していく……という話。

前半は霖に学園や街を案内していきながら、いろんな人達と出会っていくと
いう展開。ほのぼのまったりした雰囲気で、とても自然な会話が繰り広げ
られます。

後半はヒロインと距離を縮めていく展開。キャラによって展開は大きく分かれ、
普通に徐々に仲良くなっていくものと、ヒロインの抱えた問題を乗り越えて
いくものがあります。前者はすっごく普通で自然な話で、特に大きな盛り上が
りもありませんが、落ち着いてプレイ出来ます。
後者はかなり突拍子もなく、唐突に不思議な設定が出てきたりと、ちょっと
置いて行かれたような気分になることも。

ラストはすっきりあっさり終わり、ちょっとあっけない感もありますが、
まあ綺麗に終わっていると思います。

特筆すべきは心情描写。光羽以外は基本的に主人公と初対面で、最初は
避けられていたり冷たく接されていたりするのが、徐々にうち解けていく様を
しっかり描かれており、真っ直ぐな純愛ストーリーが楽しめます。

ただ、どうでもいいようなシーンは丁寧に描かれていて、大事なシーンは
唐突にあっけなく終わってしまうような印象があって、ちょっと力の入れ
どころがズレているように思えました。

また、主人公の雨を呼ぶ体質とか、部活の話に触れたくない理由とか、
結構後の方まで伏せられていたりするので、プレイしていてイライラしました。

そして、もっとイライラさせてくれるのが、三本木先輩。このウザさは異常。
もう、出てきた瞬間、うんざりですよ。このときばかりは、主人公と完全に
リンクしたような気分です。某シナリオをプレイすれば、その行動の理由は
わかるんですが、わかったところで言動がウザいのに違いはないわけで。

他に気になるのは、シナリオによってヒロインの行動がかなり違うこと。
たとえば光羽は、シナリオによっては主人公が他の女の子と仲良くすると
嫉妬したかと思ったら、別のシナリオでは応援してくれたり。
他にも、花香は人見知りの男性嫌いで主人公が一人で会いに行っても冷たく
機械的に応対されるのに、霖と一緒に行くと最初からすっごいフレンドリー
だったりと、全然印象が違います。
もう少し、キャラクターに一貫性を持たせて欲しいところです。ちょっと
感情移入しづらいですね。

H度はやや低め。各ヒロインともほぼ複数回用意されています。(1〜3回)
尺の方はそこそこ、描写はあっさりめ。内容は純愛系のらぶらぶHで、
どちらかというと会話を主体にした気持ちを前面に押し出したような
シーンが多いです。

テキストは誤字はそれほど目立たないのですが、脱字がちょっと気になり
ました。盛り上がっているところにそういうのがくると、がっくりします。
また、「幼馴染」と「幼なじみ」が混在していたり、テキストにも統一感が
なくて、どうにも感情移入はしづらかったです。
また、地の文がだらだら長いように思いました。テキストが瞬間表示が出来
ないのもあって、余計にそう感じるのかも知れません。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。だいたい3ヶ月ぐらいでしょうか。イベントのあるところ
だけをプレイしていくような感じですが、日付が飛んでもそういう描写が
ほとんどなくさらっと流されるので、いつの間にかかなり日が経っていた、
なんてこともしばしば。

ワンプレイは5〜6時間。ラストのあっけなさもあって、やや短く感じました。
2周目以降はスキップを使えば前半は短縮できますが、比較的序盤から分岐
するため、そーんなには短縮できないかも。

難易度は並。基本的に狙ったキャラ寄りの選択をしていればいいのですが、
どの選択肢がどのキャラに対応しているのかが分かりづらく、気付いたら
狙っていたのとは別のキャラのシナリオに入っていた、なんてことも。
総評
お奨め度ですが、まったりした雰囲気の純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
ヒロインと心を通わせていく過程がよく描かれており、落ち着いた雰囲気も
相まって、とても自然にプレイできるかと思います。

ただ、序盤からほのめかされている設定が説明されるのはかなりあとの方
だったり、唐突に変な設定が出てきたり、シナリオによってキャラクターの
反応が違ったりと、どうにも感情移入しづらい要素が満載で、せっかくの
身近な雰囲気の作品にも関わらず、一歩引いてみてしまうのは勿体ない
気がします。

また、この作品のメインテーマは「雨」だと思うのですが、これがほとんど
有効に利用されておらず、どうにもピントがずれているように思えます。
他にも、主人公が部活の話題に触れない理由とか、三本木先輩が主人公を
追い回している理由とか、もったいぶっていた割にはあっさりと流され、
いつの間にか終わっているような感じで、どうにも肩すかし感が強いです。

全体的にしっとりと落ち着いた雰囲気で、まったりゆったり楽しめるのですが、
その分盛り上がりも少なく、どうにも物足りなさが強いです。
決して悪くはないと思うのですが、これと言った点もない、こぢんまりと
まとまった作品、という印象が強いです。(ややピントズレ気味ですが)

なので、まったりほのぼのした、ちょっと心温まる作品が好きな人は是非
どうぞ。キャラクターは可愛らしいですし、ベースのお話はいいと思うの
ですが、どうにも勿体ない気がします。

最後に。「ちょっと不思議で、どこにでもある物語」……ねぇよ(笑)


霖が書いていた話とか、願いを叶える雨とか、もっとストーリーに深く
組み込まれるのかと思ったら、すげぇあっさり流されていてちょっとアレ。



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