世界でいちばんNG(だめ)な恋
ブランド名 HERMIT ジャンル 歳の差カップルホームコメディADV
発売日 2007.11.22 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(182x260x41mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAMEDIASC : 2.25GB(DVD-ROM)
丸戸史明氏書き下ろしドラマCD「陽の坂怪談」 : CD-DA=221.6MB、CD-DA1トラック
SOUND TRACK&SYSTEM VOICE : CD-DA+10.1MB=345.8MB、CD-DA17トラック
原画 みこしまつり シナリオ 丸戸史明with企画屋
音楽 17曲、橋本鏡也、
ロドリゲスのぶ如月まさと
片霧烈火(CLOSED/UNDERGROUND)
あり(2曲、OP&挿入歌・ED)、
片霧烈火(CLOSED/UNDERGROUND)
音声 フルボイス、先割れ丼、夏野こおり、一色ヒカル、風音、芝原のぞみ、
まきいづみ、先割れスプーン、事務台車、胸肩腎、先割れチョップスティック、
如月葵、茶谷やすら、城崎彦太、本多啓吾、紫陽花、おおくぼけんたろう、このかなみ
インタフェース ほぼフルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 95箇所+オートセーブ4箇所
+クイックセーブ1箇所
CG枚数 92枚
おまけ CG回想、シーン回想、BGM鑑賞
対象属性 純愛、ドタバタ、コメディ、感動、ポニーテール、リボン、オーバーニーソックス、
セーラー服、お嬢様、ツンデレ、黒髪、ボブカット、浴衣、女教師、ガーターベルト、
ストッキング、ヘアバンド、お下げ、ショートカット
1プレイ時間 8〜13時間 お奨め度 8

レビュー
概要
職を失い、住むところを失った主人公は、スナックでなけなしの金を使って
やけ酒を飲んでいた。そして、店を出て公園で行き場もなく途方に暮れていた
主人公に、優しい声を掛けてくれた女性がいた。その女性はスナックで隣に
いた女性で、アパートを経営しているという。困ったことがあったらいつでも
来てと言われた主人公は、その女性に憧れ、告白するためにアパートに向かう。
しかしそこで主人公を出迎えたのは小さい女の子だった。その子は主人公の
憧れた女性の娘で、しかもその女性は娘をおいて男とどこかに行ってしまった
という。主人公はそのアパートにおいてもらいつつ、アパートを一人で切り
盛りしている健気で頑張り屋な娘を放っておけず、なんとか支えようとする。
かくして、年齢差と身長差のある2人と、個性的な住人達との、一つ屋根の
下での生活が始まる……という、年の差カップルホームコメディAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

陽坂穂香(ひのさかほのか)。(CV:まきいづみ)
路頭に迷っていた主人公に優しく声を掛けた女性。テラスハウス陽の坂を
経営している。美都子の母親。

陽坂美都子(ひのさかみとこ)。(CV:夏野こおり)
母親が出て行ってしまったため、テラスハウス陽の坂を一人で切り盛りする
女の子。明るく元気で健気で前向きで頑張り屋の女の子。家事は万能で、
考え方もとても大人っぽい……というか、一部おばさんくさい。
真面目で頑固で融通が利かず、一人で何でも抱え込んでしまう。
住人達みんなから愛されている。

澤嶋姫緒(さわしまひめお)。(CV:芝原のぞみ)
テラスハウス陽の坂の隣に別宅を持つ、大企業のお嬢様。美都子とは仲が良く、
美都子に対しては非常に優しい。しかし、他の人に対しては高飛車で高慢。
素直になれない、とても素直な女の子。
# とりあえず、岐阜県民バカにすんな(笑)

天城夏夜(あまぎかや)。(CV:風音)
主人公が再就職した会社で働いている女性。やる気がなく、惰性で毎日を生きて
いるかのような感じだが、世話焼きで、尽くすタイプ。人をからかったりいじめたり
誘惑したりするのは好きだが、自分自身は流されやすい。

香野麻実(こうのあさみ)。(CV:一色ヒカル)
美都子の担任教師。新任だが責任感が強く、優しく生徒思いで人気も高い。
颯爽とした格好いい女性だが、見栄っ張りで内心ではいつも後悔している。

本田真鶴(ほんだまつる)。(CV:茶谷やすら)
美都子の友達。おとなしく引っ込み思案だが、妄想が激しい。美都子に対して
好意を持っている男子が好きなため、やや複雑な女の子。

長谷川倫子(はせがわりんこ)。(CV:如月葵)
美都子の友達。さっぱりした女の子で、頭が良く、大人顔負けの達観した物の
考え方をする。美都子の周りの人間関係に頭を悩ませ、色々と策を弄する。

絵の方は活き活きとした魅力的な絵だと思います。ただ、シーンによってはやや
崩れているように見えることもあれば、逆にドキッとするぐらい綺麗で可愛い
こともあったりと、ちょっとバラツキはあるように感じます。
CGは原画の線を結構残して塗られているのか、絵によってはちょっと粗く見える
ものもありますが、その分原画の魅力も活かしているように思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。ポーズ変化はそれほどパターンは多く
ありませんが、表情は豊かで、会話に合わせて切り替わり、コミカルな表情も
あって、見ていて楽しいです。
正直なところ、サイトの紹介とかパッケージとか見た段階では、あまりこの絵に
興味を引かれなかったんですが、ゲーム中で見ると、すっごい活き活きしていて
魅力的でした。これ、絶対パッケージとかで損してると思うんですけどねー。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。基本的にはみんないい人で、主人公の
ことをからかいつつも、優しく見守ってくれます。
平木課長がすっごい好きです(笑)

音声はキャラクターとのマッチングはばっちり。演技の方も文句なし。
どのキャラクターもホントに活き活きとしていてとてもいいですね。
ちなみに、主人公にも音声が付いています。

音楽はほのぼのとしたちょっとコミカルな曲が多め。聞いていて落ち着く感じ
です。静かで切ない曲もあり、シリアスなシーンも雰囲気を出してくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
というか、各話の冒頭に流れます。
歌はアップテンポで爽やかな歌。とても聴き心地が良く、なかなかいいですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点はなし。

エンディングも歌あり。爽やかで希望に満ちた感じの歌で、とても聴き心地が
良く、ラストを綺麗にまとめてくれる感じです。

挿入歌として、オープニングの歌が使われることもあるのですが、はまっている
シーンもあれば、ちょっとどうかなと思うシーンもあり。
システム
インタフェースはほぼフルキーボードサポート。メッセージ送りや選択肢決定、
各種メニューの操作も可能ですが、テキスト回想モードでの音声再生は出来
ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はそこそこ軽快。スキップ動作は高速です。

セーブ箇所は95箇所+オートセーブ4箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは
随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像と章タイトルが保存されます。
数としては、選択肢はそれほど多くなく、エンディングもそんなに多くないため、
これだけあれば充分でしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
条件を満たすとおまけのシナリオが見られるようになる、シナリオ追加型の
システムになっているようです。
また、ゲームは章立てて進み、各ヒロインはそのヒロイン用の章があって、
そこで条件を満たせばそのまま個別ルートに入るような感じになってます。
まあ、だいたいは最後の方に分岐するんですが、一部かなり早い段階で
分岐するものもあったり。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「芳村理(よしむらおさむ)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がテラスハウス陽の坂を訪れるところから始まります。
求めていた女性はおらず、その娘が一人でアパートを切り盛りしているのを
見て、放っておけず、なんとか支えていこう……という話。

前半は職も財産も何もない主人公が、美都子を支えるためになんとか仕事を
見つけて、美都子の保護者になろうと努力していきます。
そんな中、いろんな人と出会い、いろんな人に支えてもらったりしながら、
美都子や周りの人との絆を深めていく、という感じです。
基本的には明るくコミカルに進むんですが、随所に感動的な話が入ったり、
なかなかメリハリの効いた展開です。

後半は各ヒロイン達との絆を深め、関係を深めつつ、美都子との関係をどう
していくか模索する展開。基本的に主人公の第一優先は美都子なので、
他の女の子との間で板挟みになったり、ときには関係が悪くなったりという
ちょっとシリアスで重い展開にもなります。

ラストはちょっと切なさがありつつも、ちょっとコミカルにすっきり終わって
くれるので、後味としては悪くないと思います。

特筆すべきは、主人公と各ヒロイン達との関係。
作品の中心、大前提として、主人公は美都子の保護者になって支えたいという
気持ちがあります。なので、ヒロインの立ち位置によって、シナリオの内容は
変わってきます。ただ、どの話も美都子と別の女生徒の間で板挟みになると
いう感じですので、やや重く、ちょっとドロドロした一面が出てくることも
あります。また、どのシナリオでも、ヒロイン達の気持ちは一貫しているため、
先にエンディングを見たヒロインは、その抱いている気持ちなんかがわかる
ため、他のヒロインのエンディングでは結構痛いことも。
最後がラブコメ調で終わるので、後味は悪くないですけど。そこだけが救い
かも知れないですね。

また、主人公は気が弱く押しが弱く流されやすく頼りなくうじうじした感じなので、
人によってはちょっと感情移入はしづらいかも知れません。
徹底的に不幸という設定で、実際そんな感じの展開もあるのですが、基本的に
みんなから愛されてますし、頭は良くて能力も高くて仕事は出来るので、
そんなに言うほど不幸という印象は受けませんでした。
むしろ、仕事に関しては、かなり強気で、全然印象変わりますしね。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回(3〜4回)用意されています。シナリオの
進め方によっては1回だけだったりしますけど。尺の方はそこそこ長め。
描写は結構濃いめです。
内容的には基本的に純愛系のらぶらぶHですが、雰囲気に流されてそのまま
とか、現実逃避気味にとか、複数人プレイとか、シチュエーションはちょっと
変わったものも結構あります。
純愛物としては、かなり頑張っていると思います。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、テンポも良く読みやすいテキスト
だと思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は半年〜1年弱。シナリオによってまちまちです。
イベントのあるところだけをつまんでプレイするような形になっています。

ワンプレイは8〜13時間。かなり幅がありますが、シナリオによってはかなり
早い段階で終わるものもありますし、条件を満たせばおまけシナリオっぽい
ものが出てくることもありますので。
また、共通部分は結構多く、基本的にメインのシナリオから派生していく形
ですので、2周目以降はスキップを使えばかなり短縮できます。

難易度は並。選択肢の数はそれほど多くないのですが、1つの選択肢がキーに
なっていて、その選択肢を選べば個別ルートに入る選択肢が出てくるように
なるという、2段構えの構成になっており、ちょっと条件がわかりづらいことも
ありました。特に姫緒は、甘やかしたらダメですし。
総評
お奨め度ですが、ちょっと切なく、でも心温まる純愛ストーリーが好きな人に
お奨め。
各キャラクターの気持ちがとてもよく表現されており、特に主人公の板挟みに
なって揺れ動く心や、女の子の気持ちがわからなくてあたふたするところなどが
よく描かれており、見ていて微笑ましくもあり、じれったくもあり、一喜一憂
しながらプレイできると思います。ただ、章によっては、ひたすらうじうじしたり、
現実逃避したりと、ちょっとヘタれたところもあるため、苦手な人にはやや辛い
かも知れません。
でも、そういうところから立ち直っていくところも含めてよく描かれた作品で、
個別ルートに入っても他のキャラ達が協力して盛り上げてくれたり、絆がよく
感じられる、心温まる作品だと思います。

個人的には、後半よりも前半の方が、心温まる、感動の話が多かったように
感じましたけど。後半はどうしてもドロドロしちゃって、感動とはちょっと違う
方向性に感じましたし。
でも、話の内容だけでなく、章の構成も含めて、とても良くできた作品だと
思います。章の目的が明確で、しっかり区切られていますし。意味のある
章立てと言うか。

ただ、どこが「NGな恋」なのかは、あまり理解できませんでした。
歳の差が離れてるから? そんなの別に気にする事じゃないと思いますし。
美都子が若いから? それはただ出会うのが早かっただけ、恋するのが
早かっただけですよね? それに、恋にいいも悪いもないと思うんですけど。
その点だけは気になりました。まあ、Hするのは微妙ではありますけど(^^;
まあ、このあたりは、プレイする人によって違うとは思いますけど、私はやや
弱いかな、と感じました。背徳感があまり感じられないんですよね。

どのキャラクターもとても活き活きしていて、心情がとても丁寧に描かれて
おり、コミカルなシーンとシリアスな展開のメリハリもよく、各所に心温まる
話もちりばめられていて、とてもプレイしやすく、楽しめる作品だと思います。
結構重い話もありますので手放しに面白いとは言いづらいですが、じんわり
心にしみるお話だと思いますので、重い話が苦手でない人は是非どうぞ。

最後に。やばい、もうグラタン見ただけで涙出てくるんですけど。
# グラタン見ただけで泣くって、どんなヤバい人だ、私(^^;


以下、ちょいとネタバレもありそうな感想。

私は最初に美都子シナリオをクリアしたんですが、この時点ではお奨め度を
9 付けようかと思ったぐらいでした。そのぐらいすっごく面白かったですし、
重い話もありましたけど、心温まるいい話だと思いました。
特に4章は、上にも書きましたがグラタン見るだけで涙が出るぐらい、とても
感動できた、いい話だったと思います。
# その後何回かグラタンの話が出る度、うるうるしてましたし(^^;

ただ、他のシナリオをプレイして、ちょっと躊躇しちゃったんですよね。
夏夜シナリオはかなり早い段階で唐突に終わる感じで、今ひとつ感情移入が
出来ませんでしたし、麻実シナリオは美都子のまおけというか、アナザー
ストーリーという感じで、盛り上がりきれませんでしたし。
何より、最初に美都子シナリオをプレイしたおかげで、美都子の痛いぐらいの
気持ちが伝わってきたので、他のシナリオでは罪悪感が(^^;
なので、ちょっとプレイ順間違ったかなー、という気がしないでもないです。
姫緒シナリオは全く傾向が違いましたし、内容もメリハリがあって、駆け引き
とかはすっごく面白くて良かったんですけど。

とりあえず、美都子シナリオと、姫緒シナリオだけなら、間違いなくお奨め度
9 を付けたと思えるぐらい、いい作品でした。
あと2本のシナリオも、このぐらい盛り上がってくれれば文句なしだったん
ですが、まあ欲張りすぎですかね(^^;

ところで、主人公が美都子にひたすら怒られ・殴られて恋におちるという、
「世界で一番MZ(まぞ)な恋」とかどうですか? ←どうですかじゃねーよ



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