WIZARD GIRL AMBITIOUS
ブランド名 Sugar Pot ジャンル 冒険活劇ADV
発売日 2008.10.24 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(182x258x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 2.03GB(DVD-ROM)、Alpha-ROM
原画 涼香ここのかさそりがため
綾瀬はづき小川静香
シナリオ 座敷猫姫ノ木あく、さくら楓
音楽 21曲、Hiroaki SANO、
あきづきかおる
あり(1曲、OP)、井上みゆ
音声 あり、安玖深音、まきいづみ、風音、木村あやか、神崎ちひろ、
大波こなみ、金松由花七生みこと紫苑みやび藤邑鈴香雪都さお梨
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 88枚
おまけ GALLERY、SCENE REPLAY、MUSIC
対象属性 ファンタジー、冒険活劇、ボブカット、オーバーニーソックス、アホ毛、ストレートロング、
銀髪、お嬢様、タカビー、黒髪、お団子頭、金髪、ポニーテール、縦ロール、ツンデレ、
ショートカット、スクール水着、眼鏡っ娘、関西弁、ツインテール、リボン、ピンク髪、
和服、着物、お姫様
1プレイ時間 9〜11時間 お奨め度 6

レビュー
概要
騎士見習いの主人公は、立派な騎士になるために、故郷の街を旅立とうとして
いた。そして、街の出口で壁役を募集していた2人の少女に誘われ、試験を受け、
壁役として採用されてしまう。ギルドに参加させられ、クエストをこなしていく
主人公。やがて3人は、仲間を増やし、大きな戦いに向かっていくことになる。
果たして主人公の運命は……という、冒険活劇ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

御剣アスカ(みつるぎあすか)。(CV:安玖深音)
主人公を壁役としてスカウトした女の子。強力な魔法を使うハイウィザード。
実力は確かだが、我が儘で傍若無人で直情で自信に満ちあふれた高慢娘。
しかし、その指導力やカリスマ性は非常に高い。

神出おんぷ(かみいずるおんぷ)。(CV:まきいづみ)
アスカと共に旅をしていたプリースト。おっとりのほほんとした女性。
ドジでどこか抜けているが、優しく慈愛に満ちている。

クリスティーヌ・レイカ・ラファエロ。(CV:神崎ちひろ)
アスカの幼馴染みでライバル。アスカに匹敵する強力な魔法の使い手。
我が儘で高飛車、自分勝手。アスカとは事ある毎に対立する。

劉鈴華(りゅうりんか)。(CV:七生みこと)
レイカに付き従う女性。寡黙で冷静。主人思いで、レイカの命令には忠実。
盲目だが、拳で戦い、回復魔法も使える優秀なモンク。

フランソワ・クレア・アーシェス。(CV:風音)
道ばたで行き倒れていた女騎士。由緒正しい騎士の家系で、修行のために
旅に出ていた。生真面目で正義感に溢れる堅物。腹減りキャラ。

りりあん・月影(りりあん・つきかげ)。(CV:大波こなみ)
普段は姿を隠している忍者。無口で無表情だが、仲間思いの優しい娘。
神出鬼没で、人間離れした体術を使う。

キャロル・ミルト。(CV:木村あやか)
ハーフエルフのシーフ。金儲け第一で、商売の手腕に長けている。頭の回転も
早く、計略などが得意。

椛(もみじ)。(CV:金松由花)
誘拐団にさらわれていた女の子。見習い魔法界で、アスカの魔法に惚れ込み、
共に行動したいと志願してくる。みんなのマスコット的存在。

絵の方は原画家さんが複数参加しており、絵柄はかなり違いますが、そんなに
違和感なくプレイ出来ました。
CGは明るくちょっと淡めの色遣いで丁寧に処理されていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。表情豊かでアクションも大きく、
会話に合わせてコロコロ切り替わり、コミカルな表情もあったりと、見て
いて楽しいです。
また、ところどころに入るデフォルメ絵がめちゃめちゃ可愛らしいです。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。我が道を行くキャラが多いので、
おんぷやりりあんといった控えめなキャラはちょっと目立たないかも。
椛萌え(T_T)
ギルド協会支部の受付の女の子もめちゃめちゃ可愛いです(^^)

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方もほぼ問題なし。
一部、戦闘シーンのかけ声なんかでやや物足りなさがあったりはしますが。
あと、キャロルの関西弁は嘘くさすぎてむしろ清々しいです。

音楽は軽快なテンポの明るい曲が多め。作品の雰囲気を明るくコミカルに
演出してくれます。もちろん、シリアスなシーンでは緊迫感のある曲や
静かな曲も用意されています。
ただ、ヒールの効果音はあまりにチープで噴きました。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は力強く格好いい感じの歌なんですが……もう少しアップテンポにするとか、
伸びのある歌にするとか、ビートを効かせるとか、明るく綺麗に歌うとか、どう
にも物足りない、中途半端な気がします。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点はなし。

あと、魔法を使うシーンなんかには、ちょこっとアニメーションもあります。
ただ、毎回見せられて、スキップできないのはちょっと鬱陶しいかも。
それと、毎回起動時にプロローグを流されるのはウザいです。CTRLキーで
早送りできますけど……。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、一部
メニュー内操作はキーボードで可能ですが、メニューの呼び出し等はキーボー
ドでは出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもキーボードで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はそこそこ軽快。スキップ動作も比較的高速です。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像と自由記述のコメントが保存され
ます。
数としては、選択肢はさほど多くなく、効果も比較的明確なので、これだけ
あれば充分でしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
基本的に選択によってイベントが分岐するだけです。

毎回ディスクチェックが入るため、ディスクレス起動不可。
バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「海神慶(わたつみけい)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がアスカのギルドに壁役採用される所から始まります。
我が儘なアスかに振り回されつつ様々なクエストをこなしていく……という
ファンタジー冒険活劇ストーリー。

前半はギルドの仲間を増やしつつ、色んな冒険を経て絆を深めて行く話。
明るくコミカルな展開で、基本的にアスカの我が儘に振り回されるような
形で話が展開していきます。

後半は世界の命運を賭けた壮大な話が展開していきます。かなりシリアスで
重く、切ない展開になっています。もちろん随所で明るい展開もありますが、
基本的にはかなり重苦しい話になります。

ラストは一応すっきり綺麗に解決はするものの、色々なものを背負っていく
ような終わり方で、すっきり晴れやかとはいきません。

まずこの作品、基本的にストーリーは一本道です。なので、1度クリアして
しまうとだいたいの設定なんかは見えてしまうため、2周目以降はイベントの
回収になってしまうため、やや作業感が拭えません。
しかも、個別のイベントはかなり少なく、ちょっと物足りなさもあります。

また、選択肢はあるものの、ほとんどが誰のイベントを見るかという分岐で、
シナリオの分岐になる選択肢はごくわずかで、プレイヤーの意志があまり
介入出来ないのは残念です。

それと、色々と設定があるのですが、かなり矛盾していたり、キャラクターの
行動理念にも一貫性がなかったりと、整合性の粗さも気になりました。

H度は並。各ヒロインとも複数回(2回)用意されており、尺はそこそこ。描写は
ややあっさりめです。
内容的には、純愛系の、気持ちを確かめ合うようなものがほとんど。会話が
主体の、ラブラブ系のシーンが楽しめます。一部、やや悲壮感の漂うシーンも
あったりはしますけど。なお、みんな初めての時からノリノリです。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、一部反禁則が見られる程度でした。
テンポ良く、読みやすいテキストだと思います。ただ、前述の通り、設定や
言動にやや一貫性は欠けている感はありましたが。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。平然と数ヶ月が過ぎるため、気にする必要は無いでしょう。

ワンプレイは9〜11時間。やや長めですが、基本的に一本道のため、2周目
以降はスキップを使えば大幅に短縮可能です。

難易度は低め。基本的に狙ったキャラ寄りの選択をしていればOKです。
というか、個別のイベントに入るには、選択肢1つだけでOKみたいです。
総評
お奨め度ですが、ファンタジー冒険活劇物が好きな人にお奨め。
最初は勘違いから巻き込まれた主人公が、次第に力を高めていって、最後には
世界を左右するような大きな戦いに身を置いていくという、ファンタジー物の
王道なストーリーが楽しめます。
仲間達との絆もしっかり描かれていて、力を合わせて困難に打ち勝っていく様は
見ていてとても気持ちよく、心温まるシーンも多かったです。

ただ、壮大なストーリーな割には、途中の過程はかなり端折られており、
駆け出しだったのがいつの間にかいきなり成長していて、ちょっとついていく
のが大変でした。確かに、あまりそのあたりの過程をだらだらと描かれても
だれるだけではあるのですが、国中の砦を制圧するとか、そんな大イベントを
あっさり片付けられるのはちょっと。いつの間にそんなに強くなった(^^;
なんだかプレイヤーの知らない間に、各キャラ無闇に強くなってますし、
いきなり必殺技を会得していたりとか、意味が分かりません。
というか、盾を使っての必殺技って何ーっ(^^;
# いきなり光り輝いたりとか、もうどうにでもしてって感じ。

あと、キャラクターの行動にもかなり疑問を感じることが多かったのですが、
このあたりはあまり書くとネタバレになるので、最後にこっそり書いておきます。

また、基本的に一本道なので一度クリアするとあまりストーリーは楽しめず、
イベントを回収していくだけになりますし、個別のイベントも少ないので
今ひとつシナリオの幅がないのは残念です。
# 最後の敵は、どう考えても蛇足ですしね(^^;

しかし、そういった点を差し引いても、とても個性豊かなキャラクター達は
活き活きと描かれていますし、みんなで力を合わせて困難を乗り越えていく
様は見ていて気持ちいいですし、みるみるうちにガンガンパワーアップして
いくのは、ある意味爽快です。
ファンタジー物が好きで、雰囲気が気に入った人なら是非どうぞ。

最後に。刀は武士の魂じゃないのか(^^;
# 騎士がほいほいと新しい武器に乗り換えるのはどうかと思うな……。


以下、ややネタバレな突っ込み。

上でも書きましたが、騎士が新しい武具に目を輝かせるのは、ちょっと違和感
というか、残念な印象がありました。特にクレアは騎士の家系なら、その剣は
代々受け継がれていてもよさそうなものですが……。

それに、せっかく手に入れた新しい武器は速攻で取り上げられたり、しかも
そのまま武器なしで敵の本拠地に乗りこむとか、あまりにも武器の扱いが酷い
気がしますよ……。
# というか、魔族を素手で殴り倒すとかありえない(^^;

あと、魔王には黒魔法や精霊魔法は通じないという設定はどこに飛んでいき
ましたか。めっちゃ効いてますけど(^^;

「生きてよ! お父様っ、お母様ぁーーーっ!!」……いや、お母様はともかく、
的確に急所を貫いてお父様に致命傷与えたのあなたですから(^^;
「アルザード王よ、この剣に誓って、必ずあなたの仇を!」……いや、仇は
あなたのマスターですが(^^;
# もちろん、元凶の魔王に対しての怒りだというのはわかるんですけどね……。

そして、椛狙いで進めていった私の純情を返せ(T_T)
さすがにこの展開はキツかったですよ……。プレイヤーの選択次第で、救う
道とかなかったんですかね……。
……「いきなり椛狙いかよ」という突っ込みは無視します。

あと、暗黒魔法ワールドエンドを使うシーン。
頭の中で「コードギアス 反逆のルルーシュR2」の二代目オープニングが
流れていたのは私だけ……かも知れません(^^;



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